なんとなく把握している上座と下座

社会人になると、半ば自然と身に付く「上座」と「下座」の認識。今一度おさらいしてみましょう。

 

「上座」と「下座」を確認

「上座」は目上の方が座る座席で、もっとも居心地がよく安全に過ごせる座席です。一般的には人の出入りが少なく入り口から遠い場所や、中庭などの景色がよく見える場所が上座となります。


逆に、「下座」はお客さまをおもてなしする側、目下の人が座る座席です。入り口から一番近い場所、また景色のいい場所から遠い座席が下座となります。

 

床の間の前は上座

床の間は、多くが入り口から離れた場所の奥にあります。


年配の方や目上の方をおもてなしする際は、床の間の前に座っていただくようにしましょう。

 

例外パターンも存在する!

一般的には入り口から遠い場所が上座、また景色がよく見える場所が上座であると紹介しましたが、ときには例外も。 例えば、「入り口から近い場所に眺めのいい景色がある」場合はどうなるのでしょうか?


 

どこに座ってもらうのがベストなのか悩んでしまいますが、こんなときは相手に一声かけるとスマート。


「本来なら奥が上座ですが、こちらの方が景色がよく見えます。こちらのお席はいかがでしょうか?」などと声を掛けて相手に選んでもらうと、親切心が伝わるはずです。

 

日常的に使っている箸だからこそ難しい

食事はさまざまなマナーが存在します。また、和食、洋食、中華など、料理によってそれぞれ異なるマナーが存在し、和食では問題なかった所作が、洋食ではマナー違反だったりすることも。 そこで、今回は箸に関する有名なNG行為を5つピックアップしてみました。

 

①迷い箸(まよいばし)

…どの料理を食べようかと、お皿の上でお箸をウロウロさせること。


②渡し箸(わたしばし)

…食事が終わっていないのに食器の上にお箸を置く行為。「ごちそうさま」という食事終了の合図となってしまいます。


③寄せ箸(よせばし)

…お箸を使って遠くにある食器を自分の近くに引き寄せること。


④舐り箸(ねぶりばし)…

お箸を舐めること。

⑤箸渡し(はしわたし)

…箸から箸へ料理を受け渡すこと。これは火葬後に遺骨を拾う動作と同じため避けられています。「合わせ箸」「拾い箸」とも呼ばれます。

 

箸に関するタブー行為は「嫌い箸」「禁じ箸」などと呼ばれ、今回ご紹介した5つ以外にも数多く存在しています。 他の嫌い箸についても知りたいという人は、ぜひ調べてみてください。

 

ほかにも食事に関しては手皿を使ったり、お椀の蓋を裏返すことがNGとされています。お子さんと一緒に自由研究として食事に関するマナーとその成り立ちについて調べてみても面白いかもしれませんね。

一番意識したいのは“相手がどう思うか”

今回は知っているようで知らない和のマナーをご紹介しました。とはいえ、マナーには諸説あり、あるマナー本ではよいとされることが、別のマナー本ではタブーとされているようなこともあります。


そのため、今回説明した立ち居振る舞いについても、場合によっては正しくないとされていることもあるかもしれません。

 

だからこそ、「相手がどう思うか」ということを意識してみましょう。 マナーや作法は「形」さえ守っておけばいいというものではなく、「心」が伴っていなければ意味がありません。 相手を思いやる心や敬う心を大切にすることで、自然と立ち居振る舞いもスマートになります。

 

文/小野寺香織