妊活を始めた女性から「夫が非協力的で行き詰っている」「私は焦っているのに、夫はのんきにしている」という相談をよくお聞きします。どうして夫婦の間で、こんなにも〝温度差〟が生まれるのでしょう? これには男女の「妊娠」に対する、心理的な構えに秘密があるようです。
男女の〝温度差〟には、数十年の意識の差がある
さて、唐突ですが「カクテルパーティ効果」という心理学用語をご存知でしょうか。これは、カクテルパーティのように雑多な刺激があるなかでも、自分の名前がどこかで話されていると、なぜか聞こえてしまうという現象のこと。 このように、人は「自分に関係ある」と思うことは、無意識に情報を拾いやすくなると言われています。
わたしたち女性は、物心がついたころにはすでに「女性は出産する性である」と知っています。つまり女性にとって、妊娠や出産は「自分に関係していること」。幼いころから自然と情報を拾っているのです。 きっと多くの女性が「産むときは痛いのかな?」なんて想像を働かせたことがあるのではないでしょうか。一方、男性にとって妊娠や出産は、自分の身体に起こることではありません。 「自分に直接は関係ない」話題なので、放っておけば情報はほとんど入ってこないのが普通。筆者が知る男性のなかには、いい年をして「出産は100%お腹を切る」と思っている人がいたくらいです。
子どものころから妊娠・出産を「自分のこと」として考とらえている女性に対し、妊娠出産を目の前にして初めて意識をする男性。数十年の差があると考えると、温度差が生まれるのも当然だと捉えられるのではないでしょうか。