『64(ロクヨン)』『クライマーズ・ハイ』などで知られる作家・横山秀夫さんの同名小説を『花戦さ』『天国の本屋〜恋火』の篠原哲雄監督が映画化した映画『影踏み』が、11月8日(金)より群馬県先行、15日(金)より全国公開中です。
主演は篠原監督の初長編映画『月とキャベツ』でタッグを組んだ山崎まさよしさん。山崎さんは本作の主題歌も担当しています。今回CHANTO WEBでは、篠原監督と原作者の横山さんスペシャルインタビューをお届け! お互いの印象や、撮影時のエピソード、映画と小説での表現方法の違い、さらに大竹しのぶさん演じる母親役について、たっぷりとお話を伺いました。
—— 「伊参(いさま)スタジオ映画祭」でのシナリオコンクールの審査員がお二人の出会いと伺っています。お互いの印象を教えてください。
横山さん
審査員としてご一緒する中で、篠原監督は「考える人」という印象を受けました。誰かが何かを発言すると「うーん」って考え込み、そのまま黙ったままなんです。そして最後にポツリと「あ、なるほどな」という深いコメントを発する、そんなイメージです。
篠原監督
数々の原作が映画化されている先生なので、会う前はかなり緊張して恐縮していました。でも、実際に審査をしながら意見を交わす中で、「ミステリー作家としてそれは聞き捨てならない!」とかはっきりとおっしゃる方だとわかりました。でも、いろいろなことをはっきりと正直に言ってくださることが、とてもありがたかったし、うれしかったですね。
横山さん
書き手として大切にしていることを「(映像にするうえでは)そんなことはどうでもいいんだ」ってバッサリと言うんですよ、監督は(笑)。人様の作品を審査するからには、私も真剣なので、優しい言葉もきつい言葉も言わざるを得ないという感じでしたね。
—— いろいろと意見が交わされる審査だったのですね。では、実際に一緒に作品を作る際にも、たくさんディスカッションされたのでしょうか?
横山さん
自分たちの作品となると「ここは削らないで」「そこはどーでもいい」というやりとりはなく、割とスムーズに進みました。漫画の原作を書いた経験からいうと、たとえ自分が書いたシナリオでも、漫画家が1本線を入れた段階でそれは漫画家のものになるんですよ。ましてや映画となったら生きている人間が演じるわけだから、「映画は映画人のもの」というスタンスで託しましたね。
篠原監督
託されることは、ありがたいことなのですが、同時に怖さでもありました。どういうスタンスで何を狙って撮ればいいのか。とても緊張したし、きちんと形にしなければいけないという気持ちになりましたね。