出産を経験したことがある方であれば、「乳腺炎」という病名を聞いたことがあるでしょう。乳腺に母乳が詰まることが原因で、おっぱいの痛みや発熱、倦怠感など、辛い症状を伴う病気です。特に仕事復帰を考えるママにとっては、正しい知識と対策を知ることはとても大切です。詳しく解説します。

 

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乳腺炎はなぜ起こる? 症状は?


 

出産を経た女性の身体は、母乳の分泌を促す「プロラクチン」と呼ばれるホルモンが盛んに分泌されるようになります。 そして、おっぱいの中にある「乳腺」と呼ばれる組織で母乳が作られ乳管を通って乳首から排出されます。

「乳腺炎」とは、このとき乳腺に炎症が起こる病気です。原因と症状を詳しく解説します。

 

乳腺炎の原因

乳腺炎の原因は、ズバリ「母乳詰まり」です。 出産を終えるとママの乳腺ではたくさんの母乳が作られ、赤ちゃんが乳首を吸うことで、乳管を経由して赤ちゃんの口に運ばれていきます。 母乳が作られる量や、赤ちゃんが飲む量は個人差が大きいもの。母乳がたくさん作られても飲み切れない場合、余った母乳乳腺や乳管内に溜まることに。 また母乳を飲む量が少ない赤ちゃんや、上手く飲むことができない赤ちゃんの場合も、母乳が留まりやすくなります。 乳腺や乳管の中に溜まった母乳は、固まりやすいので「詰まり」の原因になります。 栄養分が豊富な母乳は細菌が繁殖しやすく、結果として炎症を起こすのです。

 

乳腺炎の症状

おっぱいの一部にしこりができ、そこに痛みや熱感があるときは乳腺炎を発症するサインです。 進行すると38℃以上の高熱、寒気、倦怠感などの症状が現れ、さらに悪化するとおっぱいの中に膿の固まりができることも。 こうなると、とても育児どころではなくなってしまいます。 乳腺炎は、まだ十分に乳管が開き切っておらず、赤ちゃんの母乳を吸い出す力も未熟な、産後6週間以内に発症するケースが多数です。 そのほか、仕事復帰などで早期に断乳するママや、仕事があって授乳できないママも発症してしまうことがあるので注意が必要です。