「次の子どもがほしい」と思っても、その通りにすんなり授かるとは限りません。 生命の神秘と言ってしまえばそれまでですが、私たち女性の体は複雑で、そしてナイーブです。 今回は「もう1人子どもがほしい」と思ったとき、いますぐ何をすべきなのかを探っていきたいと思います。
第2子を妊娠したい…迫るタイムリミット
残念ながら私たちは、何歳になっても子どもを産めるわけではありません。妊娠・出産にはタイムリミットがあります。そこで気になるのが「何歳まで産めるのか」という問題。 これについては正直なところ、個人差が大きすぎて一概に「何歳」と言うのは難しいものです。私たちは一人ひとり、好きな食べ物も好きな服も、髪質も肌質も、お酒の強さまで違います。 それと同じで、妊娠可能な年齢だって、みんな一緒なわけがないのですから。とはいえ、何かしらの目安は必要となります。そこで見ていただきたいのが、こちらのグラフです。
これは体外受精や顕微授精などの生殖補助医療、いわゆる「不妊治療」を行なったときの妊娠率と、女性の年齢をグラフにしたものです。年齢とともに妊娠率が低下していくことが一見してわかります。 その中でも点線の間の、35歳から41歳くらいまでの間が、他の部分と比べてやや急角度になっていることが見てとれます。35歳で約15%あった妊娠率は、41歳では3%程度…10%以上下がっています。 これはすなわち、この間に子どもを産めるリミットを迎える人が多くなった結果だと考えられます。現在、日本では第1子出産時の女性の平均年齢が30歳を超えています(30.7歳。内閣府「平成29年版 少子化社会対策白書」より)。 仮に30歳で第1子を産んだ場合、その後の5年間に第2子を妊娠しなければ、もう一人産める確率はかなり低くなってしまうといえます。 子育てをしていれば、5年はあっという間に過ぎてしまうもの。もちろん35歳を過ぎても出産は十分できますが、それでもタイムリミットが着々と迫っていることにかわりはありません。
最初の妊娠といま、体にはどんな違いがあるのか
第1子を妊娠したときといまを比べると、私たちはどんなに少なくとも1歳は年齢を重ねています。年齢が上がると女性の体には、以下のような変化が起こることがわかっています。
●卵子の数が減る
●卵子の質が低下する
●子宮や生殖器に関する病気にかかる確率が上がる
●流産の確率が上がる
●妊娠中や産後に病気になる確率が上がる
悲しいかな残念ながら年をとると、体の中では上記のような変化が少なからず起こります。そしてこれらの変化は言わずもがな、妊娠の妨げとなってしまいます。 自分では第1子の出産前とほとんど変わらないつもりでも、体の中ではこうした変化が起こり、年を重ねるごとに妊娠しにくくなっていることは意識しておく必要があるでしょう。
「絶対に3人欲しい」なら妊活を始める年齢は?
ところで世の中には、さまざまな研究をしている人がいるもので ●将来何人子どもが欲しいか
●それは「どうしても」なのか「できれば」なのか「いなくてもOK」なのか といった希望条件によって、「何歳までに妊活を始めるべきか」という研究結果が公表されています。 それによると子どもを「どうしても」2人以上望む場合、女性が妊活を始めるべき年齢は27歳。ちなみに3人ならば23歳にまで下がります。
ちなみに「いなくてもOK」であれば2人の場合でも38歳になりますが、さきほどの妊娠率と女性の年齢のグラフを見ると、38歳では高度な不妊治療を行なっても、妊娠率は10%を切っています。 この年齢から妊活を始めても、子どもを2人授かる確率はかなり低くなってしまうと考えられます。
ひとつ目は「適切な知識を得る」こと
ここまで「若くないと妊娠できない」と言わんばかりに、加齢による妊娠への影響を書き連ねてきましたが、決して年齢を重ねたから妊娠できない訳ではありません。35歳でも38歳でも41歳でも、妊娠できる可能性はあります。 ですから何歳であっても「もう1人子どもがほしい」と思う、その気持ちをあきらめる必要はありません。とはいえ年齢が上がると妊娠しづらくなることは残念ながら確かです。妊娠に関する情報や知識はあふれるほどあります。 まずはそうした情報の中から正しいものを選び「知識を身につけること」。それが、年齢をそれなりに重ねた私たちが、妊娠へ近づくための第一歩。 リミットが迫る私たちには、氾濫する情報に惑わされている時間はないのです(情報を選び取るための具体的な方法は、今後の記事でふれていきます)。
ふたつ目は「体の状態を把握する」こと
そしてもうひとつ。当たり前すぎて忘れがちですが、妊活を始める前にやっておきたいこととして「レディースドックを受ける」ということがあります。 子宮や卵巣など、妊娠・出産にかかわる臓器は体の中にあって、目で見ることはできません。だからこそ検査をして、現在の状態を知った上で妊娠を目指すことが大切だといえます。 また子宮や卵巣をむしばむ病気の中には、自覚症状が乏しいものも少なくありません。検査の結果、もしも妊娠の妨げになるような病気が見つかっても、発見が早ければ治療が可能なことも多々あります。 ぜひ一度レディースドックを受診して、自分の体の現状を把握してみてください。「適切な知識を身につける」ことと「体の状態を把握する」こと…これで、次なる妊娠に向けた準備が始まります。 次回はさらに踏み込んで、もう一度妊娠するための近道について考えたいと思います。
文:山本尚恵