子連れでの美術鑑賞のポイント

―無理強いしないこと、「楽しい」思い出につなげること―

「美術館での子どもの集中力は30分程度。子どもが興味を持った作品を自由に観させて、飽きてきたらミュージアムショップや、近くの公園などで息抜きをするようにしています」 

 

大切なのは「無理強いをしないこと、子どもに任せること」だと工藤さんは言います。「今週末、美術館に行こうか」と、子どもにチラシやネットで美術展の広告を見せた時、子どもが興味を示すかどうかで行き先が決まるそう。

 

サントリー美術館のカラフルで大きなパネルに釘付け!

 

「子どもは“大きいもの、動くもの、カラフルなもの”が大好き。チームラボのような現代アートは、子どもも楽しみながらアートに触れることができるのではないでしょうか。また、夏休みなどの長期休暇の時期になると、子ども向けの展覧会があちこちで企画されるので、要チェックです」

 

見るだけでなく、触って遊べるなどの体験型の展覧会はお子さんも大喜びだったと話します。徳島県の大塚美術館や金沢21世紀美術館では、子ども向けのアート企画も多く、親子ともに楽しめたそうです。

 

国立新美術館のワークショップでお面を作成

 

最近では子ども向けの美術ツールが充実しているところも多く、東京都美術館では『とびらボード』という磁気式のお絵かきボードの無料貸し出しや、森美術館では未就学児向けのガイドツアーを開催しているそう。 

 

「子どもが楽しめるツールや企画があるか、近くに公園などの息抜きができる場所があるかなどは、事前にリサーチしておくといいです。

 

小さなお子さんにとってどんなアートが『好き!楽しい!』と思えるかは個人差があります。実際に行ってみて、自分が好きだと思えない作品だったとき、『面白くないな』という気持ちになるのも当然。大切なのはその気持ちを引きずらず、その後公園で遊んでもいいし、美味しいケーキを食べてもいい。どんな形でも最後に楽しかった!という流れを作ってあげることだと思います」

 

子連れで行く展覧会について、親がそこまで作品や作家に対して予備知識を入れておく必要はない、と工藤さん。「知識よりも一緒に楽しむための興味や好奇心は親にも必要です」と話します。

 

「子どもは親のことを本当によく見ているので、親がつまらなさそうにしているものには子どもはまず興味を持ちません。もちろん赤ちゃんも同じです。作品や作家に対する知識は子どもが興味を持った時に、リードしてあげられる程度で十分です」