少しずつ世間にも浸透しつつある電力小売り自由化。電気プランを見直せば、毎月のコストが手間もがまんもなく“自動的”に下がる可能性大。ポイントをプロに教えてもらいました!(2016年5月号より)

201605電力自由化-1

 

 

 

覚えておこう!しくみと制度

2016年4月から始まった電力自由化。言葉だけ聞くと「難しそう、めんどうくさそう」と思うかもしれませんが、しくみと制度の内容はとりあえず、この3つだけ知っておけば大丈夫。

 

Q:電力自由化」っていったい何が自由になるの?

A :電気をどこから買うか会社やプランが選べるように

今までは住んでいる地域によって、契約できる電力会社は決められた一社だけでした。今回の自由化ではガス会社、通信会社など、その地域に供給するさまざまな会社が販売するプランのなかから、消費者が購入先を選べるように。「暮らしに合ったものを"自分"で選択できるのが大きな違いです」

 

Q: 一戸建て、分譲、賃貸マンション誰でも変えられるの?

A :個人で電力会社と契約している人なら誰でも選べます

一戸建てかマンションか、分譲か賃貸かにかかわらず、電力会社と個別に契約していれば自由に乗りかえが可能です。自宅に電気メーターがあるか、電気料金のお知らせがきているか、が目安。マンション丸ごと契約している「一括受電」や、電気代こみの賃貸住宅などの場合は個別に選べないことも。

 

Q: 乗りかえるには具体的に何をしたらいいの?

A :プランを選んだら、手続きはネットや電話で簡単にできます

手続きは申し込みたい電力会社に、ネットや電話からサクッと申し込み。「申し込み後、送られてくる契約書を返送すれば受付完了。契約中の電力会社への解約手続きは不要です。メーターの取りかえ工事が行われますが、費用は発生せず、立ち会う必要もありません」

 

乗りかえのメリット・デメリット

新電力に興味はあっても、「電気をどこから買うかを選ぶ」というのは初めての経験。慎重になるのも当然です。乗りかえのメリット・デメリットを知って、納得してから乗りかえましょう。

 

Q:「電気を選ぶこと」のいちばんのメリットは?

A :価格やサービスが「自分に合った」ものを選べること

いちばんわかりやすいメリットはやっぱり、ライフスタイルに合ったプランを選ぶことで電気代が安くなること。「各社の提案するセット割引を利用することで、電気代以外にも家計全体の支出がおさえられたり、+αのサービスで生活の質を向上させることもできますよ」

 

Q逆に自由化のデメリットは?

A: 価格やサービスがバラバラなので「知らないと損」をすることも

現在販売中のプランは、電気単体ではなくさまざまなサービス(付加価値)を組み合わせたものが主流。「自分に合っていないプランを選ぶと料金が高くなる場合もあるので要注意」。また、海外では、自由化によって電気料金が高騰したり、供給が不安定になった例も。

 

もしものときの安心と安全

電気はないと生活が成り立たない「ライフライン」のひとつだけに、いちばん心配なのは「電気が使えない」というトラブルでは? 新電力の電気の供給の安定性について説明します。

 

Q:会社によって停電しやすいなど電気の質に違いはあるの?

A:配送電の設備は同じなので「安定性が低くなる」「停電しやすくなる」ことはありません

大手電力会社のものも、新電力のものも家庭までの供給の安定性に違いはありません。というのも、これまでどおり地域の配送電部門が電気の質を一定にコントロールするため。つまり、電気の質によしあしはなく、停電の可能性も同様だといえます。

 

Q:契約していた電力会社が倒産したらどうなるの?

A:電気は使えるけれど料金が割高になる可能性もあります

電力は重要な社会インフラだけに、倒産などのリスクに備え、既存の電力会社がカバーする義務を負っています。そのため万が一契約先が倒産しても、利用者は停電することなく電力を利用できます。「ただし、料金設定は従来の標準プランに戻るので、使用状況によっては高くなる場合も」