妊娠中は、「出産=ゴール」と捉えがちですが、本当の大変さは、その後にやってくるケースも多いもの。慣れない育児に夜間の授乳など、新米ママの気力と体力はどんどん削られてしまうことが。実際に出産を経験したママたちの中にも、「産後の睡眠不足は想像以上だった!」と語る方は少なくありません。
そこで今回は、産後の睡眠不足のリスクや改善するコツをご紹介します。
睡眠不足は、産後の不調の原因の一つ
女性の身体は、出産という大仕事を成し遂げたあと、急激に変化していきます。ホルモンバランスも、その中の一つ。妊娠・出産のために必要だった女性ホルモンが急激に減少することで、さまざまな不調が起きやすいと言われています。
とはいえ産後のママが悩まされる不調の原因は、ホルモンバランスの変化だけではありません。むしろ慢性的な睡眠不足の方が、精神的にも肉体的にも、悪影響を与えてしまう可能性も高いのです。
睡眠の質が低下すれば、判断力は鈍ってしまいます。また体力や免疫力に悪影響を与えることも考えられます。もちろん、精神的に追い詰められてしまうケースも少なくありません。
産後の睡眠不足は、赤ちゃんのお世話をするためにある程度必要なことではありますが、無理は禁物です。できるだけ早めに対処していくことが、肉体的にも精神的にも、健全に育児生活を乗り切っていくためのコツとなります。
睡眠時間は夜に限定しない
では具体的に、産後の睡眠不足にどう対応すれば良いのでしょうか。
完全母乳で赤ちゃんを育てているママの場合、1回あたりの授乳に30分ほどかけて、その後1時間かけて寝かしつけ、1時間ほど仮眠をしたらまた授乳の時間がやってくる……なんて無限ループに陥るケースも少なくありません。
睡眠不足を解消するポイントの一つは、「睡眠時間を選ばない」ということです。夜だけでは十分に眠れないのであれば、昼間も積極的に昼寝をしましょう。
特に新生児期の赤ちゃんは、比較的ぐっすりと眠ってくれるタイミングが、夜に来るとは限りません。お昼寝のときの方がまとめて眠ってくれるのであれば、ママも一緒に昼寝をしてください。
「でも赤ちゃんが眠ったときは家事のチャンスだし…」なんて考える必要はありません。洗濯も掃除も、数日できなかったところで生活が成り立たなくなる訳ではありませんし、いざとなったら家族や代行サービスに依頼もできます。
また、これだけ食文化が充実している時代、食事の準備も手作りだけにこだわる必要はないでしょう。
本当の意味で生活の質をキープし続けていくために、何よりもまず必要なのは、ママの睡眠時間の確保です。これについて、パパや周囲の人にも理解してもらえると良いですね。
夜間はミルクへ切り替え
家族構成によっては、「日中に赤ちゃんと一緒に昼寝をするのが難しい」というケースもあるでしょう。上にお兄ちゃんやお姉ちゃんがいる場合、ママのお昼寝で完全に目を離すのが怖い……なんてこともありますよね。
その場合は、夜間の授乳のみ、母乳からミルクへと切り替えるのもひとつの方法です。ミルクは母乳よりも腹持ちが良いと言われていますから、赤ちゃんが長時間眠ってくれる可能性もあります。その間に、ママも自分自身の身体を休めることができるというわけです。
また夜間の授乳をミルクにすれば、「授乳はママだけの仕事」という固定概念も変わるはずです。時にはパパにお世話をお任せして、ゆっくりと身体を休めてくださいね。
一人で完璧な育児は無理なものと心得る
産後の睡眠不足は、想像以上に辛いものです。そのしんどさに驚き、実際に産後うつになってしまうママも少なくありません。
しかしこの時期の睡眠不足は、永遠に続くものではありません。いつか必ず、夜にまとめて眠ってくれる日が来ますから、「今を上手に乗り越えること」が大切なのです。
産後の睡眠不足を上手に乗り越えるためのコツは、実はママの「考え方」の中にあります。産後のママの状況は常に大変なものではありますが、その中でも特に自分を追い込みやすいのは、「完璧主義で真面目なママ」だと言われています。
育児を完璧にこなそう!と思えば、やるべきことは次から次へと出てくるでしょう。しかしそれが、ママの睡眠時間を削る原因になってしまいます。自分一人で難しいのは当たり前のことですから、周囲の人に積極的に頼ってみてください。
パパや実家の母、保育所にファミリーサポートなど、子育て中のママを助けてくれる手は、想像以上にたくさんあります。だからこそ大切なのは、自分で自分を追い込み過ぎず、無理なときには「無理!」と声をあげる勇気だと言えるでしょう。
周囲の手を借りて、たった数時間ぐっすりと眠れるだけでも、体力・気力ともに回復できるケースも少なくありません。自分一人で完璧を目指すのはやめて、今の限られた瞬間を、なんとか乗り切っていくことを考えてみてください。
まとめ
産後の睡眠不足は、想像以上にしんどいものです。慣れないお世話で一日くたくたになって、夜も眠れないとしたら……ママの心が追い詰められるのも、当然のことだと言えるでしょう。まずはそのことを、自分自身が認めてあげてくださいね。
自分の辛さを認められれば、周囲に助けを求めることもできるはずです。いつか「あんなこともあったな」と笑って思い返せるよう、上手に乗り切っていきましょう。
文/富樫真由美