【この記事は、CHANTOママライターによるウェブ限定記事です】
ライター名:外山ちえ子
呉服店の若女将に教わる「浴衣デビュー」のコツ
夏の風物詩である「浴衣」。でも、「自分も着付けがわからないのに子供に着せられるわけないわー(涙)」、「すぐ大きくなって着られなくなるのに、買うのはちょっと…」等、子供に浴衣を着せるのをためらっているお母さんは意外と多いと思います。日本の伝統文化でもある浴衣は、子供時代にこそ体験し、一生の思い出にしてもらいたいものですね。そこで、東京都八王子市の老舗呉服店「きものの西室」の若女将であり、3児の母でもある西室真希さんに、子供の浴衣デビューをする際のアドバイスを伺いました!
(呉服店若女将・西室真希さん)
子供の浴衣を購入する際のポイントは?
いつ、どんな浴衣を買えば、失敗しないのでしょうか?「毎年4~5月頃から店舗に浴衣が出始め、5月が品揃えのベストシーズンです。既製品の購入する場合は、子供の実際のサイズより10センチ程大きめのサイズを購入しましょう。ちょっと大きくても、肩上げ(肩の部分に生地を折り込み、縫いとめる事)、腰上げ(腰の部分に生地を折り込み、縫いとめる事)をすれば、子供の体型に合うようサイズ調節できます。既製品にはあらかじめ肩上げ、腰上げされているものもありますよ」と西室さん。「夏の終わりに、肩上げ、腰上げをした部分をほどいて保管。そうすれば、翌年に子供の体が大きくなっていても、同じ浴衣を着用できます」
ちなみに、今年の浴衣には、どんなトレンドがあるのでしょうか?「今年は、朝顔や撫子、トンボ柄…など、昔ながらの古典模様のものが復活しつつあります。普段の洋装ではあまり着ることのないものなので、浴衣こそ、古典柄を楽しむのも良いと思います」なお、サイズアウトの目安は「『袖が手首の豆状骨(手首の骨のぐりぐり)に3㎝位届かない』『裾が足首の脛骨(足首の骨のぐりぐり)より3㎝位上の位置に来る』『身幅の合わせが足りなくなった』等、着姿に違和感が出てきたら、見直しを」とのこと。なるほど、肩上げや腰上げすると2年は着られますね。
浴衣の小物選びのポイントは?
では、帯の選び方のポイントはどうでしょう?「少々値が張りますが、やはり正絹の兵児帯がおすすめです。帯結びもふんわりと形良く仕上がりますし、天然素材なので子供の肌に優しいところがおすすめの理由です」と西室さん。「ポリエステルの帯は、安価で華やかな色が選べるプラス面もありますが、どうしても締めていると正絹より暑く感じます。そして、生地が滑るので帯結びがしにくいというマイナス面も。正絹以外にも綿・麻等の天然素材の帯は、風を通して涼しいので子供用にもおすすめですよ」。
ちなみに、履物はやっぱり下駄がいちばんいいのでしょうか?「実は下駄の鼻緒は堅いので、下駄を履くのが苦手なお子様は多いです。私のおすすめは履物屋さんで扱っている『畳草履』という、畳表を張ってある草履です。鼻緒が柔らかく、比較的安価に購入できます」と西室さんのアドバイス。履き慣れない下駄を子供が嫌がるのであれば、履きなれたビーチサンダルや、サンダルでも良いそうです。そうですよね、浴衣を着ている子供が快適に過ごせるのが一番ですよね!それでは、いざ着付ける際のポイントをお伺いしましょう。
大人より簡単!浴衣の着付けのコツ
「まず、浴衣の下に汗取りになる肌着(和装用の肌襦袢等ではなく、タンクトップやTシャツ等で大丈夫)を着せます。基本的に、子供の浴衣には着付けるための紐が付いているので、肌着の他に必要なものは『浴衣』『帯』『履物』のみです。」と西室さん。汗で体を冷やしたり、汗汚れを防ぐためにも、肌着はマストです。
「浴衣は襟を必ず『右前』に合わせて着付けます(写真のポイント1)。浴衣の紐はあまりきつく結ばばいように注意して。仕上げに帯を結びますが、例えば絞りの兵児帯等は、明らかに前だとわかる柄が入っているので、柄を体の前面に合わせて2回巻きます。このとき、子供が動くとしわが寄ってきて帯幅が狭くなってくるので、帯を広げて胴に巻くようにしましょう(写真のポイント2)」と西室さん
「最後に背面で蝶々結びをしますが、この時『蝶々結びの羽根部分をふんわり広げる』『結び目を帯の中に押し込むように入れてしまう』(写真のポイント3)のがポイント。仕上げに、背中へ寄った浴衣のしわを脇へ逃がすように伸ばして完成です」。なるほど、帯の結び目を胴に巻いた帯の中へ入れてしまえば、結び目がずり落ちてくる心配がないですね。
また、子供は動きが激しいので、こまめに着崩れをチェックして、襟がはだけてしまったり、帯結びにゆるみが出来たら直してあげましょう。ちなみに、子供の浴衣は男の子も女の子も着付けの仕方はほぼ同じ。女の子は帯を胸高に結ぶと子供らしい可愛らしさが出て、男の子は腰骨のあたりで低めに結ぶと粋な格好良さが出るそうです。
浴衣のお手入れのコツ
かわいい浴衣を着せても、とにかく子供は着ているものを汚すのが得意だし、夏はたっぷり汗をかくので、お手入れについても知りたいところ。そこで、浴衣のお手入れについてもアドバイスを頂きました。「浴衣の洗濯自体は、普通に畳んで四角い洗濯ネットに入れて、柔軟剤無しの洗剤を使って洗濯機で洗えばOK。ただし柔軟剤入りの洗剤を使うと、生地にハリがなくなりよれやすくなるのでおすすめできません。帯は吊り干しにして、一晩風を通してからしまいましょう。」と西室さん。これは筆者の体験談ですが、絹の兵児帯の汚れが心配であれば、あらかじめガード加工されている商品を購入すると、汚れが付きにくくて安心です。
ママも一緒に浴衣で夏を楽しみませんか?
「既製品ではなく、反物からお仕立てをする場合、反物が2反あれば親子分の浴衣が作れるので、同柄浴衣の親子コーディネートも可能です。お手頃なものなら一反5千円位から品揃えがあります。ご興味がある方は、呉服店に相談してみてはいかがでしょうか」と西室さん。また、親子それぞれの柄の浴衣の場合も、同系色でまとめたり、帯や小物をお揃いの色にしたりと、アイデア次第で親子コーディネートは楽しめるとアドバイス。「ママの浴衣姿も、お子様には楽しい思い出として記憶されるので、夏は是非お子様と一緒にお母様にも浴衣を着用して頂きたいですね」ちなみに、私が浴衣を着ると、7歳になる息子が「ママ、今日はかわいいね♪」とめったに言わないホメ言葉を言ってくれますし、心持ち彼のお行儀が良くなるので母親的にはかなり嬉しいです。今年の夏は親子で浴衣を着て、お祭りや花火大会に出かけて素敵な思い出を作ってみませんか?