■子どもの集中力は持続しないもの。数分間もてば十分?
やっと宿題をし始めたと思ったら、何分もたたないうちにモゾモゾし始めるわが子。そんな姿を見ると、「なんて集中力がないんだろう」と不安に駆られるかもしれません。 しかし、そもそも大人と子どもでは、時間の流れの感じ方が違います。大人にとってはあっという間の出来事でも、子どもにはそうではないというのは、よくあること。つまり、大人にとってはたった〇分間でも、子どもにとっては〇分間も頑張った!となるのです。 また、大人はある程度、経験値で集中力をコントロールすることができます。「今、これをやらないとマズいことになる」という危機感や、「取りあえずここまでは頑張ろう。残りは何とでもなる」という状況判断が働くからです。 一方、まだまだ圧倒的に経験が少ない子どもたち。「今はこれに集中しよう」と自分でコントロールすることは難しく、すぐにほかに気が散ってしまうのは、しかたのないことです。
■集中力を欠いた状態の長時間学習は非効率
長時間学習を続けるのと、短時間学習を積み上げるやり方では、どちらが学習効果が高く、集中力を持続できるのか。2017年、株式会社ベネッセコーポレーションと東京大学教授との実証実験が、中学生を被験者として実施されました。 その実験では、60分間通して学習するグループ、45分間通して学習するグループ、間に休憩を入れながら15分間ずつ3回に分けて学習するグループの3つに分かれ、英単語を学習。さらに当日、翌日、1週間後の3回、事後テストを実施しました。 その結果、60分間学習したグループよりも、15分間を3回積み上げたグループの方が1週間後の事後テストにおいて好成績に。また、脳波測定では、60分間の学習では、40分を過ぎたころから、集中力に関係するガンマ波が急激に落ちるのに対し、15分ずつの学習では、毎回休憩後にガンマ波の数値が回復。集中力を一定のレベルにキープできていることが示されました。 その実験は人数規模が小さいため、まだまだ大規模実験が必要とのこと。しかし、集中力が切れた状態で長時間学習するよりも、こまめに休憩をはさみ、集中力を回復させながら短時間学習を積み上げた方が、効率よく学習できるといえそうです。