「肌になにか湿疹のようなものができているな」

「なんだかかゆがっているな」

という場合でも、そこまでひどくないから、と見過ごしていたら、

いつの間にか他のところにも蔓延していて

気づいた頃には大事になってしまった…ということがあります。

そんな病気の一つが「とびひ」。

軽くすませるために、気づいたらやっておくべきことは?

「とびひ」の病気の特徴について、 小児科医の保田典子先生に 分かりやすく解説してもらいました。

 

どんな症状?

虫刺されやあせもから発生することも


虫刺されやあせも、かき傷、すり傷、湿疹などに細菌が入り込むと炎症がおきます。これらの細菌は、健康な皮膚には感染しませんが、皮膚の抵抗力が弱くなっている場合は感染しやすくなり、その周りや少し離れた場所などにも発疹ができていきます。それが「とびひ」です。 初めは小さな水疱から始まることが多く、ここですぐに「とびひ」と判断するのは難しい場合が多いです。そのうち水疱の中に膿をもち、水疱が破れて周りに広がっていきます。発疹の周りは赤く化膿した感じになり、じくじくとしているのが特徴的です。    

何が原因なの?

抗生剤(抗菌薬)が有効なので、対処は早いほうがいい!

とびひは、発疹に皮膚にある細菌(ブドウ球菌や溶連菌)が感染することによって起こります。細菌の感染なので、抗生剤(抗菌薬)が有効な発疹です。 少しでもとびひでは?と思った場合は、広範囲に広がってしまう前に早めに病院を受診し抗生剤や抗菌薬を処方してもらいましょう。

自宅での対策は?

清潔にして「かきむしらない」ことが大切。鼻ほじりにも注意!

とびひは、その名の通り皮膚についた細菌があちこちに「とびひ」することによって起きる発疹なので、下記のステップに気をつけることが大切です。

 

  1. 皮膚や手を清潔に
  2. 鼻などをいじらない
  3. かきむしらない

 

ただし、実際に炎症が進んでしまってかゆみがあるときに、子どもにかきむしらないようにさせるのは、まず無理。かゆみが発生する前の段階でしっかり処方された軟膏を使うこと、保湿などのスキンケアをしっかりしましょう。

 

もしとびひができてしまった場合、早めに受診をし、抗生剤が必要か判断してもらいましょう。兄弟がいるご家庭では疾患を持ったお子さまのお風呂は、必ず最後に!入浴後は、とびひの部分はしっかり覆って感染を防ぎましょう。 予防のためにも、清潔にすることとスキンケアがとても大切です。また、鼻の穴をほじったりすることで発症するので、鼻に指を入れることをやめさせるようにしましょう。       

いつ登園できる?

保育園はOKですが、プールはNG


とびひ自体は熱などがなければ、保育園に登園してはいけないということないので、いつでも通って大丈夫です。ただし、とびひは完全に治るまでは、プールは禁止とされています。いつからプールが可能なのかは主治医と相談してください。      また、腕や足にひどいとびひがあり、じくじくとして乾いていない場合は、「長袖を着てきてください」と保育園から言われることがあります。傷が乾いて軽快している場合は、その限りではありませんが、完全に完治するまでは念のため保護しておいたほうがいいでしょう。                           

保田先生よりひとこと

とびひは保育園登園の制限もなく、基本的には体は元気です。 ひどくなってくるとかゆみや痛みで夜の睡眠の質が悪くなったり、皮膚に跡が残ってしまったりします。かきこわしそうな場所は寝るときにしっかりと絆創膏や包帯などで保護し、かきむしりを予防するなど、自宅でもしっかりケアしてあげることが大切です。 とびひがあると、プール遊びができません。せっかくの夏なのに、子どもが大好きなプールができなくなってしまうのは、子どもにとっても悲しいですよね。普段からのスキンケアはもちろん、発疹を見つけたら早めにケアするなどして対処したいものです。

 

取材・文/松崎愛香  トップ画デザイン/山本めぐみ(el oso logos) イラスト/岡村優太