不妊治療をしても授かれない人もいる

彦坂まなみ
元サッカー選手の夫・小林裕紀さんとランチを楽しむ彦坂さん

── ご自身のなかで「やりきった」思いが強かったとはいえ、つらい8年間を終えた直後にやめる決意をされたことも含め、不妊治療について公表されました。それは、どんな思いからだったのでしょうか。

 

彦坂さん:私、不妊治療を始めてから、同じ治療をされている方々のSNS投稿に助けられてきたんです。だから、私も誰かのお役に立てるならと思って発信してきました。投稿を読んでくださった方からは性別関係なく、たくさんのコメントやメッセージをいただいて、今でも励まされています。

 

「実は、不妊治療をしていました」と、出産報告とあわせて公表する方が多いように思うんですけど、きっと授かったから公表に至った方が多いと思うんですよね。だけど、不妊治療しても授かれない人も、少なからずいるはずです。

 

不妊治療をしても授かれなかった人が発信することで、授かれなかった人にも、心の行き場があればと思いました。「同じ境遇の人はここにもいるよ」っていう思いです。

 

不妊治療をやめても、子どもがいない人生でも、幸せになれると信じているので、そう感じてもらえたらいいですね。

「もっともっと幸せになります」と語る今

── 公表をされる際、「今とても幸せです。もっともっと幸せになります」とSNSに書かれていた言葉がとても印象的でした。

 

彦坂さん:不妊治療をしていた8年間はすごくつらい思いをすることが多かったんですけど、夫の本性を見ることができたなという気持ちもあって(笑)。「不妊治療なんて必要あるの?」と、最初こそ言っていたものの、すぐに協力的になってくれて。妊娠15週目で赤ちゃんとお別れをしたときも「悲しい気持ちは一緒だよ」って、ずっとそばにいてくれました。結婚して10年ほどですが、私も夫のことがすごく大好きなんだなって再確認できました気がします。

 

── ケンカをすることはなかったのでしょうか?

 

彦坂さん:もちろんありました。夫から「そこまでやらなくてもいいんじゃない?」って言われて軽い口論になったこともありますが、いつもふたりで話し合って仲直りしていました。つらい時期を一緒に過ごして、今では、人生を預けられる、最愛の人を見つけることができたんだと思えたし、もしこの先、子どもが授かれなくても「大好きな人をひとり占めできるんだ、ラッキー!」って思っています。

 

── 今、大事にしている時間はありますか?

 

彦坂さん:愛犬との時間です。不妊治療をやめたら犬を飼おうと決めていて、やめる決意をした3日後にわが家に迎え入れました。といっても、まだわんちゃんは家に慣れていないと思うので、最初のうちはわんちゃん優先にしながら、夫とわんちゃんとの時間を堪能したいです。

 

取材・文:たかなしまき 写真:彦坂まなみ