「それを言ったらおしまいだよ」と思うひと言が、夫婦を離婚へと向かわせることがあります。動画配信を行う30代夫婦に訪れたのは、相手への尊敬の念が決定的な嫌悪に変わる瞬間でした。離婚するか否か。夫婦で話し合い、迷いながら出した「家族を破綻させないための結論」が、「別居婚」でした。

相手への尊敬が「しんどさ」に変わるとき

ヨメポンポン かなみ
おもちゃが広がる自宅で、息子と愛犬のそばにくつろぐかなみさん

──「仲良し夫婦」を前面に出す発信者も多いなか、夫婦ケンカの修羅場まで包み隠さず公開するスタイルが人気を博し、登録者数は約12万人にも及ぶ夫婦YouTuber・ヨメポンポン。妻のかなみさんと夫のつばささんは2025年5月「同じ空気を吸うのもイヤ」と、別居を発表。離婚はせず、4歳の息子を育てながら活動を続けています。別居に至るほど関係がこじれた根底には、どんな価値観の違いがあったのでしょうか。

 

かなみさん:そもそも私たちは、生き方が真逆なんです。私は「人生いかに省エネモードでやり過ごすか」がモットーで、壁があったら避けて通りたい。でも夫は、自分から壁を探して登りに行く人です。交際時はなにごとも熱量を持ってやる彼を尊敬していましたし、今も長所だと思っています。でも、生活も仕事も一緒になると同じ熱量を求めてくる。私は一緒に壁を登れないし、自分のペースを守りたいんです。

 

つばささん:僕は何かを犠牲にする熱量で努力しないと成果は得られないという考えで、つねに何かしていないと気が済まない。「昭和」っぽいと言われますが、かなちゃんは真逆の省エネ型ですね。ただ、僕が突っ走って突然へこたれてしまうときに、彼女の「なんとかなる」という大らかさに救われていたのも事実です。

 

── 同世代でありながら、いわば「昭和」と「令和」のように対極にあるふたり。そこまで生き方のペースが違うと、結婚生活で衝突することは多かったのでは。

 

かなみさん:結婚後、2年半に及ぶ不妊治療のときはかなりもめました。子どもを望んでいなかった夫との温度差に落胆し、本気で離婚を考えた時期も。いざ子どもが生まれてしばらくは、夫にも父親の自覚が出たのか、お互いに育児という共通の目標に向かって結託できた時期だったんです。ところが1年が経った頃から、またふたりの波長のずれが露呈してきました。

 

── 一度は危機を乗り越えたはずなのに、再び関係がほころび始めた。きっかけは何だったのでしょう。

 

つばささん:YouTubeの配信に関してで、撮影への熱量の違いですね。もともとは、妊娠中のかなちゃんを内緒で撮り、「100日後に出産する嫁」というInstagramを始めたのが発端でした。出産後に見せたら喜ぶと思ったんです。それが広がり、フォロワーさんに勧められてYouTubeも始めました。

 

かなみさん:私はアカウントの存在すら知らず、ゴロゴロしている姿を勝手に晒されて、最初は理解に苦しみました。それでも応援してくれる人が増え、その流れで続けてきたんです。でも、家族で出かけても夫は撮影優先。「カメラを回す前に子どもを見てよ」と思うこともしばしばで、しかも私が使ってほしくない場面ばかり動画に使う。それで、何度も大ゲンカになりました。