「父親がいなくてかわいそう」の声に思うこと

── 3人目のお子さんについては、妊娠・出産までの経緯は詳しく公表されていませんが、出産されたときは未熟児でNICU(新生児集中治療室)へ入院されたそうですね。
歩さん:実は35歳のときに、子宮頸部高度異形成を発症して。放置したままだと、この先子宮がんになる可能性があるかもしれないということで、40歳のときに円錐切除手術をしました。その影響かは定かではないのですが、早産の理由はそのせいだったのではと思っています。
明け方、まだ寝ているときに破水して救急搬送され、出産しました。その後、息子は全身管だらけの状態でNICUの保育器へと運ばれ、母親として何もしてあげられないもどかしさがありました。
── 予断を許さない状態から何とか落ち着き1年後、出産したことを昨年末に発信されたときは、いろんな意見がありました。
歩さん:応援メッセージも多かったのですが、心ない言葉や誹謗中傷もたくさんありました。「父親がいないのはかわいそう」「正しい家族の形じゃない」といった声もありましたが、私の人生を生きているのは私だけですから、傷つく必要なんてないと思って。自分で責任を取ることが、子どもにとっても誠実だと思うので、気にしないようにしました。
たしかに買い物のときなど、物理的に父親がいればと感じることも日々ありますが、いなければいないなりに工夫できますし、楽観的に過ごしています。今はサービスやグッズが充実しているので、シングルでも上の子どもたちのときより負担は軽いです。
── シングルマザーで3人育てるのは経済的な不安はありますか。
歩さん:手厚い子育て支援がありますし、条件はありますが、東京都は3人子どもがいると大学の入学金や授業料は無償になります。加えて、近所の人から子育てグッズのお下がりをもらったり、リユースショップなど、中古のものが安価で手に入る仕組みも充実しているので、とくに不安は感じていません。
ただ、物価がびっくりするほど高くなったのは想定外でした。とくに食費は上昇率が高く、100円だったおにぎりが倍の200円に。子どもたちが成長するにつれて食費はかさむので、これからが私も踏ん張りどころです。
── 現在、11歳と9歳になるお子さんから父親について何か言われることはありますか。
歩さん:何も言わないですね。聞かれたら話そうと思いますが、これまで父親のことを聞いてきたことはいっさいありません。今の家族の形が自然で、こういうものだと思っているから、疑問を抱くことはないのかなと思います。3人目の子どもに対しても変わらず優しく接してくれています。
── 歩さんが頑張る原動力はどこから湧いてくるのでしょう?
歩さん:子どもたちのために絶対に生きなければならない、ノンストップで育てていかなければならない使命感、責任感が常にあります。この先20年ぐらいは大変な思いをするだろうし、稼がなきゃならない。ほかのことに割く時間やお金はないと、今は一目散に育児に仕事に励んでいます。それが私の生きがい、働く原動力になっています。
取材・文:岡﨑優子 写真:歩りえこ