「私のような考え方の人もいるよ」と知ってほしい
── その後、不登校のまま中学を卒業し、高校は進学しなかったそうですね。
ヨシダさん:高校に進学しない不安より、高校に進学して集団生活を送る不安のほうが大きかったんです。学校に行かないことで自分の心は守れると思いました。通信制の学校も考えましたが、やっぱり興味がないことをしても時間もお金もムダになると思って。学歴が欲しいわけでもどこかの会社で働きたいわけでもないし。勤めたところでうまくいかないだろうって思っていたので。
── 中学卒業後は、いくつかの仕事を経験しながら現在はフォトグラファーとして活躍されています。大人になった今、高校に行かなかったことについてどう思いますか?
ヨシダさん:まったく後悔してないです。中卒ということ自体は恥じてもないし、つらい思いをするために学校に行く必要はない。苦しい思いをしてまでやるべきことってないと思うんです。
私は受験も就活も経験せず、自分が嫌だと思うことはすべて避けてきました。幼少期からイヤなことから逃げ続け、23歳のとき、初めてアフリカを訪れるとすぐに夢中になって、その後も何度も現地に足を運びました。
今でこそフォトグラファーという肩書きで仕事をしていますが、はじめから写真が好きだったわけでもありません。アフリカで出会った人たちを忘れたくなくて、自分の思い出として写真を撮っていただけですが、その熱量が人よりも高かっただけなんだと思います。
お金と時間をアフリカにつぎ込み、アフリカで撮った写真をインターネットに載せていたらウェブメディアの方が私を見つけてくれました。媒体にときどき掲載してもらうようになると、ある日『クレイジージャーニー』からオファーがきて、テレビの放送を見たらフォトグラファーという肩書きがついていたんです。そこから仕事のオファーが増えていって人生が一変しました。29歳のときです。
── はじめからフォトグラファーを目指していたわけでもなかった。
ヨシダさん:はい。逃げることで自分の不得意なことを避けていると、イヤじゃないもの、自分ができることのほうへ無意識に導かれていったような気がします。
── 逃げることで、自分の身を守っただけでなく、自分が置かれた環境を変えるきっかけになった。嫌なことから離れた結果、興味が持てるものに辿り着いたんですね。
ヨシダさん:イヤなことに時間を割かなくてよくなったから、興味のあることに時間をすべて振ることができました。学校に行けるなら行ったほうがいいと思います。そこにしかない学びや出会いは必ずあるし、みんなと過ごせる青春を謳歌できる場所でもある。決して、学校に行かないことを推奨しているわけでもないです。でも、学校がすべてではないし、違う道もあると思うんです。
当時の私には、それを理解し、共感してくれる人がいませんでした。だから実際に学校に行くことをやめて生きてきた人間として、「私のような考え方の人もいるよ」ということは、お伝えできたらいいなと。あのときの私にもそう言ってくれる人がいたら、どれだけ救われていたか…、そう思うんですよね。
取材・文:松永怜 写真:ヨシダナギ