「特別な日なんて来ない」日々を愛するように
── 40代になって日々の生活のなかでも変わったことはありますか?
熊切さん:最近は、コスメの選び方が変わりました。いろいろと試した結果、高価なものよりも、ドラコス(薬局で買えるコスメ)などが成分もシンプルで、肌に負担が少なく、使いやすいと感じ始めました。若いころは、出先やメイク室でコスメを広げたときに「ブランド品が入っていたほうがいい」という、誰かに見られることを意識した感覚がありました。でも、今はそういうことも気にならなくなりましたね。
また、以前は、高くても欲しいなと思ったものはよく考えずに買って「いいものは特別な日に使うんだ」と大切に取って置いたりしていましたが、特別な日なんて来ないんですよ。機会を失って使わないともったいないですし、今使うことを大事にしたい。そもそも、毎日が特別な日だと思って生きていかないといけないなと思うようになり、買うものにも変化が出てきました。
先日、友人のほしのあきちゃんとランチしたときに「おばあちゃんになったら重いバッグや小さすぎるバッグなんて使えないんだから、今使わないと!おばあちゃんになったらタオルも入れなきゃいけない、飴ちゃんも入れなきゃいけない、お薬も入れなきゃいけないのよ」って、言われたばかり(笑)。本当にその通りだなと。年齢とともに事情も変わるわけですから、いつまでも同じ感覚ではいられないことも再認識しました。
── たしかに、自分を取り巻くものがいつまでも同じではなくなってきます。40代は心身ともに変化が起こるさまざまな気づきが、いい年齢を重ねるための成長をさせてくれそうですね。
熊切さん:高校生の頃からずっと誰かと比べられてきたから、周りをうらやましく思うことも多かったし、ネガティブで「自分は下なので」という感覚がつねにあったんです。だけど、今はやっと人と比べるのではなく、自分の幸せの基準が見えてきました。自分を愛することが幸せの始まりだったんです。
今日も美味しいご飯が食べられたし、かわいい犬と一緒に生活できているし、部屋もきれいに掃除して、気持ちよく寝られることに幸せを感じられる。身近なところに幸せになれる要素はいくつでもあるということに気づいて、自分のことも愛せるようになってきました。
若い頃は億劫に感じていた掃除や運動も、自分を大切にすることにつながっていて、掃除をすることで部屋もきれいになって、自分の心もすっきりするし、運動することによって気持ちもデトックスして、体も健康になる。すべて好転しているように感じます。まさに運を動かすと書いて運動なんだなと。部屋をきれいにすると、いらないものが明確になって処分できるようになり、不要なものを買わなくなりお金も使わなくなりました。
そして寝る前に「今日も1日幸せだったな。ありがとう」と、自然と感謝できるようになりました。平凡な日々の価値がようやくわかる年齢になった気がします。
取材・文:CHANTO WEB編集部 写真:矢島泰輔 熊切あさ美