歌い続けて46年「未来も伝統を継ぐ形で」

── 17歳でデビューして46年が経ちました。盆踊りをめぐる変化では、猛暑も気になります。夏は各地をまわり、櫓の上でノンストップで歌い続けているイメージですが、こころがけていることは?

 

河内家さん:たしかに暑くなりました。私も暑いとは感じますが「苦しい」と思ったことは一度もありません。甲状腺がんの手術の影響で体温調節が苦手なので、むしろ寒さの方が耐えられませんね。

 

じつは水を飲むと声に影響するので、以前は2時間水も飲まずに歌い続けていました。でも最近は猛暑のため、水分補給タイムが設けられているので、自分ではそれほど必要としていなくても、踊っているお客さんを促す意味で、一生懸命水を飲んでいます。体力作りは特別なことはしていませんが、当時の貴乃花親方に教えていただき、内転筋を鍛えるために毎日四股を踏むようにしています。

 

── 猛暑を苦にせずとは、すごいですね。河内音頭のスタイルに変化はありましたか?

 

河内家さん:若いころはレゲエやロック、世相を反映した新聞(しんもん)詠みなど、新しいジャンルに挑戦してきました。「そんなの河内音頭じゃない」と異端児扱いされ、若気の至りで「リフレインばかりの古いことをやっていたら、先行きは暗い」と、言い返したこともあります。そんな批判の声に反発して、創意工夫するパワーが湧いたんです。また、河内音頭には圧倒的なスターがいなかったので、全国的に知名度が低い課題もあり、注目してもらいたい気持ちも強く持っていました。

 

でも、伝統を受け継ぐ人たちがいるからこそ、変わったことをする私が目立って、結果的に世の中に広く受け入れられるようになったんですよね。昔は業界全体を俯瞰的に見る余裕がなく、伝統の上に改良が成り立つと分かったのはずいぶん後のことです。

 

さまざまな分野の音楽を取り入れた経験を経て、現在は伝統的な河内音頭に戻ってきました。異分野とのコラボもまったく違うことをしていたわけではないんです。例えば、レゲエ風に「ボブ・マーリー物語」を創作して歌いましたが、ストーリーを伝えるという点では、伝統的な河内音頭を踏襲しており、エッセンスは同じ。これからも伝統的な河内音頭をきちんと継承し、後世に伝える役割を果たしたいと思っています。

 

取材・文:岡本聡子 写真:河内家菊水丸、吉本興業株式会社

♫カーカキンキンカーキンキン♫部分は、カーキン音頭  作詞:岩本恭明、柴田俊生より引用