いじめの話を今話す理由
── いじめはなかなか人に知られたくない話のようにも思うのですが、なぜ今お話ししてくださったんですか?

吉木さん:私はタレントなので、発信することがひとつのお仕事です。私がいじめの話を伝えることで、誰かが共感したり、救われるかもしれないと思ったんですよね。どこかで今、苦しんでいる誰かがいたとして「あの吉木ですらなんとか立ち直って頑張っているんだから、自分も頑張ってみようかな」と思ってくれたら嬉しいです。
それに、母が言ってくれた言葉も大きいです。「絶対にいつか、あなたが誰かの役に立てる日がくるから」って。いじめられてからだいぶ時間が経ちましたが、大切な人たちに囲まれて幸せを感じられている今が、そのときなのかもしれないと思ったんです。
今なら、私の中ではつらい体験はもう浄化できている。だから、自分の子どもたちに知られても大丈夫だし、子どもが人生に行き詰まったときの支えにもなるかもしれないと。
── 吉木さんのブログに「誰もが、いじめる側にも、いじめられる側にも、傍観する側にもなったことがあると思います」という一文があって、印象に残っています。どんな思いが込められているのでしょうか。
吉木さん:学校って特殊な場所で、小さな世界で生き続けなければならない。いじめに関しては、明日はわが身で、もしかしたら次は自分がいじめる側になっているかもしれないし、いじめられる側になっているかもしれない。傍観しておけばとりあえずは自分が傷つけられることはないけれど、いつ何が起こるかわからない。
そんなふうに不安と隣り合わせのなかで、みんな自分を守って生きていると思うので、誰が悪いとか、そういう問題じゃないかもしれないと思っています。いじめの話も、誰かの役に立てるのであればできる範囲でお話ししたいと思っています。
根本的な問題として、学校のシステムなのか具体的にはわからないのですが、子どもたちが生きていく環境をできるところから変えたほうがいいのでは、とも思っているんです。これだけ不登校や自殺未遂、実際に自殺してしまう子が増えている実態が数字としても表れていると思うので。早急に大人が全員で考えるべきことだろうと思っています。
── そんなふうに考えるきっかけは何かあったのでしょうか。
吉木さん:実際に自分がいじめを体験し、大人になって子どもが生まれて、学校の行事に行ったりしたときに、みんなかわいい子たちばかりだな、でもそのなかにも個性があるんだなってあらためて感じたんです。
泣き虫な子、怒りんぼうな子、おとなしくて自分のことを表現できない子、いろんな子がいるけれど、みんなが平等に幸せになる権利が子どもたちには絶対にある。だから、私たちは責任を持って子どもたちを守ることに対して、政府や学校、保護者の方だけではなく、大人全員が意識を持つことはとても大事だと思っています。
子どもたちは私たちの背中を見て育つと思うので、私は胸を張って「自慢のお母さん」だと思ってもらえるように生きたいです。負けず嫌いで、仕事、家事、育児すべてにおいて全部妥協したくないって気持ちがあるんですけど、実際は難しくて妥協しているかも。夫と協力しながら、推し活を存分に楽しみつつ、これからも人生を豊かに生き抜きたいですね(笑)。
取材・文:たかなしまき 写真:吉木りさ