中谷潤人選手との「ビッグマッチ」の舞台裏
── ふだんは井上兄弟とどういう付き合いをされているのですか。
井上さん:オフのときに買い物に行ったり、ゲームしたりですね。多いのはゲーム。「スマブラ(対戦型アクションゲーム『大乱闘スマッシュブラザーズ』)」です。尚弥が海外で試合をやるときには、たいていスマブラのソフトも持っていきます。
── 尚弥さんの試合には帯同されるのですね。
井上さん:国内外の試合に「チーム井上」の一員として必ず同行します。海外の場合、環境が大きく変わって試合前の緊張をとくのが難しいため、3人(尚弥さん、拓真さん、自分)でゲームや買い物したりして、気分転換する感じです。国内の試合も基本は同じ。求められればアドバイスもして、技術面やメンタル面のサポートに徹します。
── 直近では、2026年5月に行われた日本人同士の世界タイトルマッチ、中谷潤人選手との対戦が世界中の注目を集めました。試合前の尚弥さんの様子はどうだったのでしょうか。
井上さん:中谷選手は僕と同じサウスポーなので、尚弥からいろいろ聞かれ、「こうしたら相手がやりづらい」とか、すり合わせをしながら試合に臨みました。僕の印象では、尚弥は何がなんでも勝ちたい思いが、いつもより強かった気がします。練習への打ち込み方を見ていても、いつもより追い込んでいる感じだったんで。
中谷選手との試合に限らないですけど、試合後の夜はだいたいアドレナリンが出まくって、眠れないようです。尚弥から深夜に連絡があって、拓真と3人でコンビニに行ってカップラーメンを食べたりしたこともありました。
尚弥の世界戦は、サポートの立場ながら緊張します。自分の体調管理も徹底して、万が一にでも自分が風邪をひいて、彼らにうつしたら大変ですからね。そのせいか試合が終わると毎回体調を崩し、風邪を引いたりするんです。一気に緊張がとけるからでしょう(笑)。
── 浩樹さんはスーパーライト級からひとつ上のウェルター級に階級を上げて臨んだ2025年3月の試合で3ラウンドKO勝利を収めました。今後、目指す道は?
井上さん:プロボクサーとして現役ですけど、一方で現在、総合格闘家である平良達郎選手の打撃指導を行っているんです。いずれはボクサーへの指導もしてみたい。いろんな意味で、新たな挑戦が始まっています。
取材・文:百瀬康司 写真:井上浩樹