「目で文字を追うだけで頭に入っていない子も」
読解力についても、気になる傾向が。たとえば、文章を読ませたあとに本を閉じて書いてあった内容を説明するようにうながしても、説明できない子が増えたというのです。これは、目で文字を追っていても「意味を持った言葉」として頭に入っていないということ。特に、風景描写のように文字を頭の中で映像化する力が弱い子が目立つといいます。

「いちばんの原因は、動画が日常に深く浸透したためでしょう。動画は視覚情報として脳にすぐ入りますが、文章を理解するには、まず文字情報を取り込み、さらに情景を脳内に描く2つの作業が必要です。ショート動画など次々と脳を刺激するコンテンツに慣れた結果、文字の映像化を負担に感じる子が増えたように感じます」(湘南ゼミナール・中河内先生)。
また、読解力を問う選択問題で戸惑う子も多いそう。「『AではなくB』と『AだけでなくB』の違いがわからない。音読させると気づくのですが、テストは黙読なので読み飛ばしがちです。今はSNSで短文慣れした時代といわれますが、実際は短文さえ正確に読めていなかったりします」(湘南ゼミナール・中河内先生)。
説明力もダウン「主語がなく思いつきで話す」
他教科を担当する先生からも、子どもと会話中に違和感を覚えるという声が。たとえば、子どもたちから質問を受ける際に、主語や前提がいっさいなく、その場で思いついた単語だけをポンポン言ってくるので、何が聞きたいのか理解できないことがあるといいます。この現象について、国語科の先生たちは、大人との関わりの少なさやデジタル化などの社会的要因も大きいとみています。
「普段話すのが親と友達ばかりだと、身内だけで通じる話し方や略語ばかり使いがち。できるだけ異世代の人と話すことが、TPOに合った話し方や語彙を身につける近道です」(栄光ゼミナール・松田先生)。
「親世代には、たとえば電話口で自分の名前の漢字の書き方を伝えるなど、言葉だけで説明する機会があったはずですが、今はメールや画面の入力で完結するやりとりが多い。『ていねいに説明しないと相手に伝わらない』という体験をしにくいのだと思います」(湘南ゼミナール・中河内先生)。