「これじゃ障がい者丸見えじゃないか」

── つらいですね。しかし、腐ることなくダンサーとして別の方法を模索し続けたとか。

 

大前さん:元来負けず嫌いなので、ダンサーとして見返したいってずっと考えてました。バイト生活を続けながら20代後半になったとき、今所属しているアーティスト集団「Alphact」と出会い、参加することに。

 

あるとき、左足が疲れたので義足を外して右足だけで踊っていたら、みんなが「すごく自然でいいね」と言ってくれたんです。当時の僕は尖っていて、「これじゃあ、障がい者丸出しじゃないか」って思いました。でも、まずは仲間たちの声に従って義足なしで舞台に出てみたら、今までにない評価を得たんです。「これだ…!」と思いました。

 

その後も日々練習を重ねながら少しずつイメージが見えてくると、僕の表現者としての形が作られていきました。自分が義足をつけてもダンサーとして自立すれば、健常者のダンサーと肩を並べても勝負できるダンスができる。僕にしかできない表現ができると思って、普通になることへの執着も徐々に手放せるようになっていったと思います。

 

──「Alphact」のメンバーの存在も大きそうですね。

 

大前さん:かなり大きかったです。それまでずっと孤独だったので、Alphactの仲間たちがいなかったら厳しかったですね。自分のことを「かわいそう」じゃなくて、ひとりの個性的なスキルを持ったダンサーとして見てくれたので、自信を失わずに済みました。

 

── その後、舞台の経験を積みながら2016年にはリオパラリンピックの閉会式でダンスを披露することに。

 

大前さん:パラリンピックの方から連絡がきたのですが、最初は何を言われてるか、すぐにわからなかったですね。

 

いざブラジルに行ってパラリンピックでダンスを披露し、日本に帰国すると、これまで経験したことがないくらい注目されました。今までAlphactのお客さんの前でしか自信が持てませんでしたが、世界から評価されたことで手応えを感じ、個性を認めてもらえたことが確固たる自信に変わりました。