第69代横綱、白鵬。史上最多となる優勝回数45回、通算1187勝、そして半年以上負けなしとなる63連勝など、5つのギネス記録にも認定されている、まさに「最強」の横綱です。近ごろ、相撲の入門書『7つのキーワードでまるわかり 大相撲 サンクチュアリの深淵』の監修を務めた白鵬さんに、相撲とは少し違う角度から、健康維持の秘訣を聞きました。

今も変わらぬ美肌の秘訣は「1日2回の風呂」にあり?

── 白鵬さんの公式InstagramやYouTubeなどで海外からの投稿をよくお見掛けしますが、2025年に日本相撲協会を退職されてから、現在はどんな活動をされていらっしゃるのですか?

 

白鵬
最多幕内優勝(45回)、最長横綱在位(84場所)、最多幕内通算勝利(1093勝)、最多通算勝利(1187勝)、最多幕内全勝優勝(16回)の5つの記録でギネス世界記録に認定されている

白鵬さん:国内外で相撲を更に盛り上げ、世界レベルにまで引き上げる「世界相撲グランドスラム構想」の実現に向けて、世界中に飛び回り、さまざまな人たちに相撲の魅力をアピールしています。

 

── 現役を引退されたのは2021年で、あれから5年も経っていますが、現役時代と変わらない精悍な体つき、風貌でいらっしゃいますが、直接お会いして驚くのは、白鵬さんの「美肌」っぷり。なにか白鵬さんならではの秘訣があるのでしょうか。

 

白鵬さん:肌のために特に気をつけていることはないですね。昔からですから。ただ、しいてあげるとしたら、よく汗をかいているからかもしれません。たとえば風呂に入るときには塩を入れています。

 

── 風呂に塩を入れると血行が促進され、発汗作用やデトックス効果が見込まれ、美肌効果があるといわれますが、白鵬さんが実践しているとは。

 

白鵬さん:それと昼にも風呂に入りますが、そのときは、2~3分、48度のお湯に入ります。

 

── 48度!それはかなりの高温ですね。熱湯も慣れれば入れるとは聞いたことがありますが、なかなか一般の人はマネできませんね。安易に真似をしないようご注意ください。

 

ただ、熱湯に浸かると交感神経が高まり、代謝を促す効果も見込めるということで、最近見直されているという話もあります。全国各地には草津温泉の時間湯や、那須湯本の鹿の湯など、高温で有名な温泉もありますし、古くから愛好者がいるのにはワケがあるのかもしれません。

 

白鵬さん:ただし、夜寝る前に風呂に入るときは、リラックスが大切なので、39度~40度くらいのぬるめのお湯に、15分から20分くらいゆっくり入ります。副交感神経が優位になることで自律神経が整い、睡眠の質の向上や疲労回復につながっていると思います。

現在は体重140キロ「体脂肪24%をキープ」のワケは

── アスリートにとっては、体を休ませることも大きな課題ですから、風呂ひとつとっても様々なこだわりと工夫があるんですね。食事についてはどうですか?

 

白鵬さん:サラダを先に食べるなどの「野菜先食べ」は実践していますね。それと、毎日いろんなサラダを食べていますが、なるべくオリーブオイルをかけるようにしています。どちらもよく聞く健康的な食べ方の話ですけど、とり入れるようにしていますね。

 

── 力士といえば、ちゃんこ鍋を限界まで食べるという姿をテレビなどでよく見たり、聞いたりしますが、食へのこだわりについて最初に出てきた回答がサラダというのは驚きました。その成果か、現役時代と印象が変わりませんね。

 

白鵬さん:体重は、現在140キロですが、じつは現役時代とそれ程変わっていませんね。アスリートは引退するとどうしても筋肉が落ち、体重が変わらなくても体のつくりが大きく変わってしまうことが多いですが、体脂肪率は現在でも24%ほどをキープしています。

 

── 驚きですね。もともと関取以上の力士でも体脂肪率は平均で32.5%という調査結果もありますから、力士全体で考えてもかなり低い体脂肪率ですし、さらに現役を退いてから5年ですから。白鵬さんのおよそ110キロもの筋肉を維持しているのは、白鵬さんの努力の賜物なんですね。

 

白鵬さん:じつは自分にとって、140キロ台を維持するのにはそれほど大変ではありません。むしろ現役時代は155キロあったのですが、この15キロの差がとても大変で。この差を埋めるために相当無理をして食べていました。

 

──「食事は、相撲の稽古よりも厳しい」と語る力士も少なくなく、最近だと現役時代は160キロ台だった元大関・貴景勝の湊川親方が、引退後に当時とは全く異なるほどスリムになったことが大きな話題になりましたが、白鵬さんは、ほとんど変わらないのですね。最後に、大相撲が大ブームになっている今の状況をみて、感じることはありますか?

 

白鵬さん:私が入門したての頃と比べると、幕下以下の力士にも注目するファンの方が増えているように思います。力士たちの励みになっていますので、変わらず応援くださるとありがたいです。

 

 

来日当時、新弟子検査に合格するのにギリギリの体格で、序ノ口時代に負け越した経験もある白鵬さん。強くなるために貪欲に知識を吸収し、実践に移していることは、別の側面でも発揮され、それが肌のきめ細やかさであり、体調管理にも役立てられていることは大きな発見でした。白鵬さんの今後にご注目ください。

 

取材・文:西尾克洋(相撲ライター) 写真:有坂政晴