特殊清掃の達成感は試合後に似ている
── サッカーで培った経験はいまのお仕事に生かされていると思いますか。
尾身さん:そうですね。若くしてプロを目指してトレーニングに励んできたぶん、仕事においても「プロの自覚」は人一倍強いです。また、サッカー選手というブランディングもすごく大きかったです。「元アスリートは忍耐力がある」「結果が出るまで努力するので信頼できる」と言ってもらえて。選手時代から知っている方に仕事をいただくことも少なくないです。
── サッカーと特殊清掃、一見するとまったく交わらない仕事のように思いますが、共通しているところはありますか。
尾身さん:たくさんありますよ。なかでも「やりたくないことをどれだけやれるか」という点で、アスリートは特殊清掃に向いていると思います。サッカーなら、苦しい状況下でも必死に走り続けるより、シュートを決めたりしたいって思うじゃないですか。でも、嫌いなことやきついことをやらなければ、選手として成長は見込めない。やり続ける継続力、持続力、スタミナ、そして困難に立ち向かう精神力…つらいときに、どれだけ自分と向き合えるかだと思います。
あとは現場の対応力でしょうか。サッカーは場面場面で状況が変わり、そのつど、判断をして最適な対応をする必要があります。特殊清掃も同じです。同じ現場はありませんし、作業中にも新たな問題が発覚することがある。そこで求められるのが、チームワークです。
特殊清掃を終えた達成感も「勝ったときの試合が終わった感じ」と似ていて、とても充実しています。
取材・文:岡﨑優子 写真:尾身俊哉