「引退後の自分に何ができるのか、すごく悩みました」。マリノスユースで全国制覇を果たし、U18日本代表にも選ばれた元Jリーガーの尾身俊哉さん。現役引退後、新たなセカンドキャリアとして選んだのは「特殊清掃」の仕事でした。壮絶な現場に、初日から揺らいだ覚悟。その折れかけた気持ちを救ったのはご遺族からの言葉でした。

引退後は不安よりワクワクが大きかった

尾身俊哉
仲間と飲み会に行きリラックスする尾身さん

── 元プロサッカー選手で、引退後は特殊清掃(孤独死や事故死の現場、ゴミ屋敷、ペットによる臭気汚染など、通常の掃除では対応できない場所を専門技術で清掃・消毒・脱臭すること)の会社を起業、日々現場で奮闘している尾身さん。

 

高校時代はマリノスユースの全国制覇に貢献し、U-18日本代表にも選出されましたが、進路を決める大事な時期に負傷。大学に進学し、就職の内定までもらったものの、サッカーを諦めきれず、ダメもとでセレクションを受けた横浜スポーツ&カルチャークラブ(Y.S.C.C.)に合格。J3の選手として4年間活躍されました。

 

尾身さん:大好きなサッカーが続けられた喜びを感じながら、J1入りを目指して頑張ったものの、高3の夏に負ったケガの影響で思うようなプレーができず、4年目の契約更新のときは引退を覚悟しました。すると、高校時代の僕のプレーを見てJ3入りのチャンスをくださったY.S.C.C.の吉野次郎代表が「6年目から活躍した選手もいる。期待してるから」と言ってくださって。区切りを決めて、踏ん切りをつけることにしたんです。

 

── 夢を追いかけると同時に、セカンドキャリアを考えながらの1年だったと思います。

 

尾身さん:「引退後の自分に何ができるのか」とすごく悩みましたね。収入の不安もありましたが、もともと試合に出て支給されるお金だけでは生活ができず、サッカースクールのコーチやデイサービスでの介護など、いろいろアルバイトをしていたんです。サッカーだけの生活じゃなかった環境が、その後の人生に繋がっている気がします。

 

── 結果的に4年目の契約満了時に引退を決意します。サッカー選手ではない人生のスタートに、不安はなかったですか?

 

尾身さん:不安というよりワクワクしかなかったですね。なんでもやってみたいって気持ちが、当時はいい方向に向いた気がします。