子どもへの真実告知は初日から

── いっぽうで、上の世代の親族に伝えるときは、また違った緊張感がありそうです。
池田さん:お正月に夫の親戚が集まるタイミングで伝えました。「上の世代の方々だとすんなりと理解を得られないかもしれない」「シーンとなったらどうしよう」と、内心すごく不安でした。でも、養子を迎えることを告げた途端、義理の姉が「いいじゃない!」と即座に明るく返してくれたんです。あの時は嬉しかったですね。実際に息子と対面してからは、みんな息子にメロメロになっていました(笑)。
── 息子さんは現在7歳になられました。特別養子縁組では生い立ちをどう伝えるかも大きなテーマです。
池田さん:私たちが登録した民間あっせん団体は「委託された初日から伝えてください」という方針でした。ですので、まだ言葉がわからない0歳の頃から「うちに来てくれてありがとう、待ってたよ」と語りかけていました。 1歳になった時には「もうひとりのお母さんのお腹から生まれたんだよ」と伝え、誕生日などの節目にもずっと話をしてきました。だから今では本人も、ごく自然に「僕にはお父さんとお母さんが2人ずついるんだ。ママのお腹からは生まれてないんだ」とお友達に話しています。3歳くらいまでは「世界中の全員にお父さんとお母さんが2人ずついる」と思い込んでいたみたいです。
── 小学校に入ると、周りとの違いにも少しずつ気づいていく時期ですよね。
池田さん:そうですね。だんだん「どうやら他の家とは違うぞ」とわかってきたようで、この前は「うちの学校には、お父さんとお母さんが2人ずついる人は見つからなかったよ」と言っていました。上級生にも聞いて回っていると知った時は、さすがに驚いてハラハラしました(笑)。
ただ、本人が発した言葉や行動に対して「そんなこと言っちゃダメよ」と否定はしないようにしています。まずは何でもそのまま受け入れる。それは意識しています。
この先、養子縁組ゆえの壁が立ちはだかっても
── 成長するにつれ、周囲から心ない言葉をかけられたり、ネガティブな場面にぶつかったりすることもあるかもしれません。親として、どのように向き合っていかれますか。
池田さん:もちろんケースバイケースですが、その時の子どもの気持ちに寄り添う以外にできることはないと思っています。大人が「意地悪を言うほうが悪いんだから気にするな」と正論を言っても、それは大人の理屈であって、子ども自身は子どもの世界でリアルに傷ついているわけですから。その痛みをどうフォローするかが親の役割だと思っています。
彼にはこれからひとつずつ自分で乗り越えていかなければならない運命があります。でも、絶対にひとりぼっちにはしません。ひとりじゃ乗り越えられないことだからこそ、家庭の中では「いつでも味方だよ。何でも言ってね」と伝え続けていきたいです。
取材・文:西尾英子 写真:池田麻里奈