捨てることへの罪悪感を変えるのは難しい

── モノが多すぎることで自宅のスペースが有効的に使えないといったことはあると思うのですが、遺品整理を7年続けたなかで、片づけられないことによるさらなるトラブル事例などはありましたか?

 

ドイツさん:少し極端な例ですが、ゴミ屋敷によって命の危険に晒された方もいらっしゃいました。以前、老夫婦が暮らす家の片づけ依頼がありました。場所は高級住宅街なのですが、家はもちろん、駐車場まで不用品やゴミでいっぱい。ネズミやゴキブリもすごく、近隣の人たちも困り果てていたようです。

 

あるとき、ご夫婦のひとりが自宅で倒れて救急車を呼んだそうなのですが、家が散らかり放題だったので、駆けつけた救急隊員が担架を家の中に入れることができなかったそう。結果的に一命は取り留めたのですが、病院から「救急隊員が入れるように片づけなければ、退院はさせられない」と言われて、家を片づけようと思ったそうです。

 

他にも、自宅で亡くなったのに、ゴミ屋敷ゆえに周囲からなかなか気づかれず、発見されてもゴミの量が尋常ではないのでご遺体をなかなか外に出せない、ということもありました。

 

── それはすごい現場ですね。

 

ドイツさん:普段から片づけておくことが大切なのですが、そうは言っても片づけられない、捨てられない人は実際にいます。なかにはゴミを汚いものと感じておらず、ゴミに囲まれていないと不安という方もいます。

 

あるとき、娘さんからの依頼でひとりで暮らす高齢のお母さんの家に片づけに伺いました。部屋はゴミで埋めつくされていてお風呂やトイレは使えず、ベッドの上もゴミだらけ。「どうやって生活しているのだろう」と疑問に思うほどの状態でした。

 

その方はとにかくゴミに囲まれていないと不安で、私たちが片づけを始めても、「どれも捨てて欲しくない」と言うのです。たとえば5年前の使わないカレンダーもです。その方はお金に困っているわけではないので、「捨てたらもう手に入らない」とか、そういうことではないんです。とにかく、私たちがゴミだと思うものが近くにないと不安になってしまう。だから無理に捨てたのですが、その後に拾いに行ってしまいました。

 

同じようにゴミを捨てるのが不安で、住んでいる家とは別の持ち家にゴミを移動させた人もいました。世代的に捨てることに罪悪感を抱く人も多いのかもしれませんが、そういう方たちの考え方を変えるのはなかなか難しいと感じています。