40歳を超えた子どもの縦笛も「もったいない」

── 遺品整理は亡くなった後だと思いますが、生前整理はどのようなときに依頼がくるのでしょうか?

 

ドイツさん:よくあるのが、高齢者の方が施設やひとり用の家に引っ越すケースです。最近は老朽化による団地の建て替えなどが増えていて、そこから引っ越さなければならない場合も少なくありません。昔は家族で暮らしていたが、子どもたちが巣立ってしまい、荷物だけが残されている。とはいえ、引っ越し先にはすべて持っていくことができません。

 

── そういうケースではどのような物を減らすのでしょうか?

 

ドイツさん:絶対にいらないのに保管してあるモノの多くは、お子さんの幼少期の思い出の品です。制服、ランドセル、縦笛に教科書など。既に40歳を超えたようなお子さんはそれらを使うことはもうないはずなのに「もったいない」「また見るかもしれない」と捨てられずにいるんですよね。

 

子ども部屋って、子どもが巣立った後は開かずの間というか。そのままにしている場合、親は頻繁には部屋に入らないでしょうし、子ども自身もたまに帰省して部屋を覗いても「懐かしい」という感情を抱くだけで、自分で積極的に片づけたりすることはあまりないですよね。

 

── 子どもの思い出の品が「もったいない」という気持ちは、少なからず誰もが抱くものだと思います。でもその積み重ねが、体力が衰えた晩年になって、大きな「負の遺産」を生み出してしまうのですね。

 

ドイツさん:家にスペースがあり、ご自身にも体力があれば問題がなくても、晩年は状況が変わる可能性があります。早くから少しずつ処分するに越したことはありません。どれを捨てればいいか判断に迷う場合は、子どもに「必要なものは今月中に持っていってね。あとは処分するよ」と伝えるのがいいと思います。