20代での親の死も「後悔はない」と言える理由は

原つむぎ
与那国島旅行での二人。おそろいの服で楽しく巡ったそうだ

── お母さんが亡くなった時に、後悔したことはありますか?

 

原さん:実は、あまりないんです。最低でも年に1回はふたりで旅行して、行きたいところはほとんど一緒に行けました。ママの旧姓は宮島なのですが、「宮島なのに宮島に行ったことあらへん」とよく言っていて(笑)。昨年、宮島にようやく行けたこともいい思い出ですね。

 

「おじいちゃんやおばあちゃんと一緒に桜を見に行きたい」というママの願いも叶えることができているんです。奈良にある吉野山のきれいな桜を家族で一緒に見に行って、できる範囲の希望は、叶えられていたかなと思います。

 

思い出の写真がいっぱいあるから、あまり後悔はなくて。唯一あるとしたら…動画をもっと撮っておけばよかったかなということ。動くママの映像を見れば、声も聞けるし、さみしい気持ちも薄れるので。

 

でも、ママとはいつも話をしていたし、今でも受け取っているものはたくさんあります。亡くなった後も、ママに言いたいなと思うことがたくさんあるけれど、なんとなくこう言うだろうなって返事が思いつくんです。ママの声が今でも返ってくるから、いっぱい話をしていてよかったなと思いますね。物に魂が宿ると聞いたことがあるので、今はママのアクスタ(アクリルスタンド)を作って、さみしいときに話しかけることもあります(苦笑)。

「親と過ごすこと」も今しかできないこと

── では、今後の生き方について、考え方が変わった部分はありますか?

 

原さん:これまで、「今しかできないことをしよう」と思って、仕事だけでなく、プライベートも含めてさまざまなことに挑戦してきました。ただ、ママがいなくなって気づいたことは、親と過ごすことも今しかできないということです。残されたパパや愛犬との時間をもっと増やして、家族のことを優先するべきだと、価値観が変化しました。

 

絶対に無理だけど、パパと愛犬と私の寿命を足して3で割って、みんな同じ瞬間に亡くなることができたらいいのに、と思うほど、家族のことが大好きなんです。

 

それと、家族だけでなく、大切な友人との時間をもっと増やそうと思いました。私の人生で出会ってきた、好きな人たちをよりいっそう大事にして、後悔のない人生を歩むべきだということを、ママに気づかせてもらいました。

 

今はまだ、これからの仕事に対してゆっくり考えられる余裕がないんですが、ママはこの仕事を応援してくれていたんです。最初は反対していたけれど、「やりたいことはなんでも応援するよ」と尊重してくれました。だから、仕事も懸命に続けていきたいですね。

 

取材・文:イワイユウ 写真:原つむぎ