合併症の鬱で2、3年寝たきりも、周囲に理解得られず

へち
SNSでも積極的にトゥレット症候群について語っている

── 留学から戻ってきたのは20歳くらいの時ですよね。

 

へちさん:そうです。帰国後は疲労やトゥレット症候群の合併症も重なって鬱症状が悪化して、2、3年はほぼ寝たきりでした。

 

当時は家族以外とはほとんど会わなかったですね。お付き合いしていた方もいましたが、病気の説明をしてもきちんと理解してもらうのは難しくて。ちょうどその頃、アスリートが白血病を寛解したニュースが流れていたのですが、「なんでお前は克服できないんだ」といったことまで言われて…。全然、理解が得られませんでした。

 

── 人によって病気も症状もそれぞれなのに…。

 

へちさん:状態は少しずつ改善しましたが、外に出て働くほど元気ではなかったので、今までやってきたダンスをSNSに投稿することに。その後、かわいい被りものをやってみたらバズって。フォロワーも増えたタイミングで自身の症状について公表することにしました。 

SNSで公表し啓蒙を続けるチック症のリアル

── 病気を公表してからの反響や心境の変化はありましたか?

 

へちさん:公表するまでは、中学時代にいじめられた記憶が蘇ってきてつらかったし、自分をさらけ出す葛藤もありました。でも公表したあとは気持ちが軽くなりました。最近はチックの説明をしなくても、あらかじめ知っていてくれる方が増えたので生きやすくなりましたね。

 

── チック症状は大人になって自然に消失する人も多いそうですが、へちさんはいかがですか?

 

へちさん:今も全然、残ってますよ。首を振ったり、体がビクッとしたり、脇に力を入れてしまう運動チックも残っているし。その時々で症状は変わります。小学生時代に授業中で「キャー!」と叫ぶ音声チックも、疲れている時には出ます。あと、ずいぶん減りましたが、今でも「何か失敗したな」と思う時は、自分の頭を殴るチックもあります。

 

── 今は、 どんな場面でトゥレット症候群の影響がありますか?

 

へちさん:たとえば何人かで集まって立食パーティーをする時とか、みんなはグラスを持ちながら話しているけど、私は手が「ピクッ」と震えることがあって、グラスを持ち続けるのが怖いんです。机に置かせてもらうか、椅子に座ると体が安定するので「座らせてください」って言ってますね。

 

ただ、料理は意外と大丈夫で、包丁を持っても震えないし、刃物やカッターを持っても危なくないです。本当に傷つけちゃいけないものは無意識に抑えられているのかもしれません。でも聞きますね、怖くて刃物を持てないっていう人も。

 

お風呂やシャワーはひとりなので困ることはないんですが、逆にひとりだけの空間になると安心するのか、チックが出やすいです。

 

── 静かな場所、ジッとしていないといけないような場所ではいかがですか?

 

へちさん:なかなか厳しいですね。お葬式とかネイルサロンとか。初めて会う人がいるとあまり症状は出ないのですが、たとえば何度も通っている美容院だとだんだん症状が出てきちゃう。ネイルサロンは、以前かなり時間をかけて丁寧にやってくださる方がいましたが、チック症状を抑えるのがつらすぎてサロンを変えざるを得ませんでした。歯医者さんも最近、行けてないです。なんとも厳しいですね。ストレスや睡眠不足、周囲の環境によっても影響を受けるのかなと思ってるんですけど。