元サッカー日本代表の巻誠一郎さんは、現役時代、献身的なプレーでファンの感情を揺さぶってきました。2006年にはドイツで開催されたW杯にも出場していますが、メンバー発表の記者会見では最後に名前を呼ばれるサプライズ選出も。間もなく開幕するサッカーW杯を前に、巻さんが当時の心境や北中米大会の見所を語ってくれました。
2006年のサプライズ選出「実感もないままに」

── 巻さんは2006年ワールドカップ(W杯)に出場されていますが、2019年に現役を引退された後はW杯やサッカー日本代表の試合をどのようにご覧になっていますか。
巻さん:実は日本代表やW杯のメンバーに選出されるまで、あまり興味がなかったというか…真剣に見たことがなかったんです。どちらも自分には遠い存在だと思っていたので。でも代表入りして以降は真剣に試合を見るようになりましたし、現役を引退した後も注目していますね。
── 初めて代表に選ばれたのはW杯前年の2005年東アジア選手権でした。
巻さん:その前年まで僕は所属していたチーム(ジェフユナイテッド市原・千葉)でもレギュラーでは試合に出場できていないような状況だったので、当時はとにかくチームで試合に出ることに必死でした。だから代表を身近には感じていなかったんです。初めて選ばれたときはもちろん嬉しかったですけど、あまりにも突然すぎたので、最初は実感がなかったですね。
── 代表の合宿に参加されたときは緊張されましたか。
巻さん:最初は海外のクラブでプレーする選手たちが不在で、普段対戦しているJリーグの選手たちばかりだったんです。しかも同世代の選手が多かったので、とくに緊張することはありませんでした。練習も、所属していてチームの監督だったイビチャ・オシムさんのきついメニューをまいにちこなし、常にプレッシャーと対峙していたので、代表でも必要以上に気を張ることなく自然に取り組めていたと思います。
── 翌2006年には、メンバー入りが厳しいともいわれるなかで、W杯のメンバーにサプライズ選出されました。メンバー発表の記者会見で「柳沢、玉田、巻」とジーコ監督が最後に名前を読み上げた際には、会見上からも驚きの声があがりました。当時はどんなお気持ちでしたか。
巻さん:正直、自分は選ばれないだろうと思っていたんですよ。だから(監督の)ジーコさんに呼ばれたときはびっくりしました。自分にとって初めての大舞台でしたが、中田英寿さんや中村俊輔さん、小野伸二さんといった海外組の選手と一緒にプレーをするのは初めてのこと。当時は実感を得る間もないまま、時間だけが過ぎていったような気がします。
ただ、W杯までは時間が限られていたので、とにかく自分自身のことや自分のプレーをたくさん知ってもらうために、積極的にコミュニケーションを取ることは心がけていました。