結婚前にはなかった「他人を応援したい」が原動力

── 今、美智子さんの原動力になっているものとは何でしょうか。

 

美智子さん:親方からみると「まだまだ」と及第点に届いていないかもしれませんが、毎日、力士たちが頑張っている姿を励みに、頑張っているところです。それに5歳と2歳になる2人の子どもの存在も大きいです。今、目の前で起きていること、子どもたちが見せてくれる姿は今しかない。その成長を見届けたいという気持ちが強いですね。

 

私は短大卒業後、OLを経てネイリストになり、結婚するまでは仕事に没頭してきました。だから、それまでは他人のために何かをするというスタンスはまったく、ありませんでした。そんな私が、おかみや母になったことで、「他人のことを応援したい」という思いに変わったんです。その気持ちが、今の私の原動力です。

 

── 素敵な原動力ですね。でも、2人のお子さんの子育てとおかみ業との両立は大変では。

 

美智子さん:子どもが小さいこともあり、部屋ができた当初から親方も私の負担が大きくならないようにバランスを取ってくれていたので、うまく両立できています。千秋楽パーティーの準備をするときは、(子どもたちを)もう少し幼稚園で預かってもらえないかなと思うこともありますが(笑)。

自分で生きる力を身につけた夫婦の願いは

千秋楽の祝賀会などの準備も、おかみの大事な仕事のひとつ

── 子育てのなかで新たな発見はありますか。

 

美智子さん:2人とも大きくなってきたので手がかからなくなってきましたが、上の子は夜泣きがひどく、3歳頃までは手がかかって大変でした。4歳になって急に落ち着いたんですが、それまではニコニコしている時間が少なく、不機嫌なことも多かったですね。しかもそれをパパには出さないのに、私には全部ぶつけてくるんです。あれはきつかったですね。ただ、今はそういう時期を過ぎたので、大変だったことも忘れましたけどね。

 

逆に次男は手がかからず勝手に育ってくれています。親方も子どもたちをお風呂に入れてくれたり協力的ですね。ただ地方場所や巡業でしばらく家を空けていると「おむつってどうやって替えるんだっけ?」とイチから教え直したりすることはありました。

 

── そんなことがあるんですね。お子さんには将来、相撲をやってもらいたいですか。

 

美智子さん:何でもそうですが、親が強制したところで本人に興味がなければできるものではないと思うんです。相撲がやりたければやればいいし、やりたくなければやらなくていいという考え方は、親方も私も同じです。でも親方も180cm後半と背が高いですし、2人とも体が大きくなりそうなDNAを持っているはずなので、なにかしらスポーツをやってくれたらいいなとは思いますね。

 

── ちなみに、親方とお子さんの教育方針やルールを何か決めていますか。

 

美智子さん:親方と私、どちらかが子どもを叱っているときは、もうひとりは子どもの味方でいようということですね。あとは子どもを親の型にはめるようなことはしないということ。私も親方もお互い自分で生きる力を身につけてきましたが、やりたいことに筋が通っていればどんなチャレンジをしてもいいと思っています。若い頃に親元を離れていろいろな経験をしてきたからからこそ、子どもたちもそうあるべきだとも考えているんです。

 

── 2人のお子さんは自宅が相撲部屋だと認識されているんですか。

 

美智子さん:下の階におりればいつでも力士たちがいますからね。子どもたちも彼らが大好きで、力士たちもみんな子どもが好きでかわいがってくれています。毎年、春にはお花見をするんですが、大きなお兄ちゃんたちを引き連れて公園でブランコを漕いだりして楽しんでいます。ただ2人とも自分が置かれている環境、自分の家が普通の家庭とは違うということはまだ理解していないと思います。