「とにかく無事に」中継で見守る弟子への想い
── 相撲部屋のおかみというと、仕事内容は多岐にわたるイメージがあります。具体的にはどんなお仕事をされているのでしょうか。
美智子さん:経理や関取のメディア出演の際のマネジメント業務、千秋楽パーティーの準備など、多岐に渡ります。あとは朝稽古に来ていただいた方への対応ですね。 場所中は関取や付き人が部屋を空けるので、少しでも力士たちの負担を減らしたくて食事作りを手伝っています。
── お弟子さんたちに食事作り、かなり大変そうなイメージですが。
美智子さん:子どもたちも保育園から帰ってきますし、あまり料理は得意ではなく要領も悪く、家庭料理よりも量が多いので昼すぎから作り始めるんですよ。
── おかみさんとして関わったお弟子さんの取組はご覧になりますか?思わずドキドキしてしまいそうですが。
美智子さん:必ずチェックしていますよ。相撲を取っている本人の気持ちはわからないのですが、私は力士たちの取組になるとめちゃくちゃ緊張してしまって。「とにかく怪我せず無事に終わって欲しい」、それだけですね。
勝負の結果がどうであろうと、部屋に戻ってきたとき私は何も言葉をかけません。勝ち越したときだけ「おめでとう」と言葉にするくらい。相撲そのものに関しては素人なので、口を挟まないと決めています。
── これまでを振り返って、改めていかがですか。
美智子さん:もともと私は狭く深くな関係しか築けない性格だったので、かなりの人見知りでした。ネイリストという接客業をやるからには「そんなこと言ってられない!」と鼓舞して徐々に話しを広げられるように。接客業が楽しいと思えるようになってからは、物おじせずに話せるようになったので、その経験が今に生かされているなと感じます。
今は、親方が極度の人見知りなので、私のほうがだいたいしゃべっていますね(笑)。いろんなジャンルの方に出会えていろんなお話を聞けて、その方の人生観やお仕事の話など知らない世界が知れること、この世界にいなかったら経験できないことだと思っています。
取材・文:石井宏美 写真:岡部美智子