「20・30代は誰にも負けないくらい働いた自負がある」と語るのは放駒部屋のおかみ、美智子さん。短大卒業後はOLを経て、ネイリストとして朝から晩まで働き詰めの日々だったそう。でも、その経験があるからこそ、弟子たちに「若いんだから頑張りなよ」と自信を持ってエールを送れているそうです。
「誰にも負けない」ほど働いた経験があるから

── 2019年に放駒親方と結婚された美智子さん。相撲部屋のおかみさんになるまでは、ネイリストのお仕事をされていたそうですね。
美智子さん:実は短大卒業後に3年間地元の福岡でOLをしていました。最後の1年間、会社勤めをしながらネイルスクールに通っていたのですが、そのときにサロンのオーナーに誘っていただいて。会社を辞めて上京し、働くことになりました。そこで5年半務めた後、自宅サロンを開いて9年弱働いていました。
OL時代の淡々とした日々から、生活に刺激を求めてのキャリアチェンジ。20、30代はとにかく「誰にも負けない」という自負があるくらい働きましたね。
── 上京してサロンで5年半働いた後、ご自身の店を立ち上げました。独立は元々掲げていた目標だったのでしょうか。
美智子さん:いえ、まったく。サロン時代は大袈裟に言えば休みがないほど働き詰めで疲れてしまって。「辞めようかな」という思いが頭に浮かんだものの、担当していたお客さまから説得されたんです。それならばと、独立を決意しました。「もし経営がうまくいかなかったら店を畳んで地元に帰ればいい」、当時はそんな思いでした。
でも、開業資金で貯金は底をついたうえ、お客さまはサロン時代の半分に。正直、不安は大きかったです。「来週は予約で埋まっているけど、今週は空きばかり」とか、不安定な状態はオープンから1年ほど続きましたが、SNSで自分がデザインしたチップ(付け爪)を毎日アップするようになってから、次第に予約が入るようになりました。
── ネイリスト時代の経験が相撲部屋のおかみにとなった今、活きているなと感じることはありますか。
美智子さん:十数年ネイリストとしてお客さまと接するなかで、「どうすれば相手の心を掴めるか」を学んできましたが、それは相撲部屋のおかみとなった今にも活きています。また、若いときに自分自身が頑張ったという自負があるので、部屋の力士たちにも「若いんだから頑張りなよ」と自信を持ってアドバイスできています。
「婚活してます」発言から、親方に嫁いで
──「誰にも負けない」ほど働いた20・30代を経て、2019年に放駒親方とご結婚されます。ネイリストと親方、どんな出会いだったのですか?
美智子さん:ネイリスト時代は周囲は女性ばかりなので、出会いなんてありません。だからお客さまとの世間話のなかで「婚活してます」とよく話していたんです。
そんなある日、お客さまから「紹介したい人がいるんだけど」と言われてお会いしたのが親方でした。最初は6人ぐらいで食事をしたんですが、印象は「大きいな」でしたね(笑)。すでに力士を引退していたんですが、当時はまだ体重が120kgくらいあったと思います。
最初は「あまりしゃべらないな」というイメージでしたが、出身地の話になったときに、現役時代の九州場所の宿舎が私の地元だったらしくて、その話で盛り上がったんです。そこで一気に距離が縮まりました。その後、親方の誠実さに惹かれてお付き合いすることに。「結婚するならこの人しかいない」と思うようになりました。