「年齢なんかただの数字」が苦手
── ただ、世間には、年齢にふさわしい「らしさ」を求める傾向も根強いです。「女性は若いほうがいい」という風潮もいまだに残っていますよね。
junkoさん:強がりに聞こえるかもしれませんが、「歳をとってもまだこんなに変われるんだ」ということがおもしろくてたまらないんです。60歳を超えてもトレーニングでお尻が上がったり、ウエストがくびれたりといった体型の変化もそうですし、私自身、還暦を公表したことでいろんなところに呼んでいただけるようになり、人生が変わりました。だから、別に若いころに戻りたいとは思わないですね。むしろ「次はどんなふうになるんだろう」と年齢を重ねることにワクワクします。
私は「年齢なんかただの数字」という言葉が苦手なんですね。数字は数字ですけれど、同時に生きてきた年数の重みがある。だから「私の大切な歴史ですよ」と言いたくて。他人からすれば、「その人生ってどうなの」って思われるかもしれないけれど、これまでずっと幸せだったし、きっとこれからもそれが続いていくと信じています。周りのみんなにすごく助けられてきた人生ですが、そうした人間関係のよさも含めて「絶対、私は強運だ!」と思って生きていますね。
── ポジティブで素敵な考え方ですね。そうした思考でいると、歳をとることが楽しみになりそうですね。
junkoさん:ただ、私のSNSにも「年相応にすれば?」みたいなコメントがたまにきたりすることもありますよ。「他人のことなんだし放っといてくれればいいのに」と思ったりしますけど。
── そうしたアンチコメントには、どう向き合っていますか?
junkoさん:いろんな考えがあって当然なので、いちいち気にしてません。「ああ、この人はそう考えているんだな。でも私はそう思っていないからいいや」と。ただそれだけです。
── その線引きができるのはなぜでしょう?
junkoさん:きっと私は鈍感なんだと思うんです。いろんなことに気づかずにスルーしているから傷つかないし、幸せでいられるのかなという気がします。
── 心が健やかでいられる秘訣は「鈍感力」にあると。
junkoさん:今は世の中いろんな情報で溢れているし、いろんな人がいろんなことを言うじゃないですか。だから、他人のことを気にして、あれこれ考えすぎていたらキリがない。それなら目の前の好きなことに向き合っているほうが、心がラクでいられます。
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バンドに没頭しながら充実した日々を過ごすjunkoさん。60歳を超えてもトレーニングで体が仕上がっていることを実感しています。59歳ではじめたキックボクシングは、筋トレのジムと合わせて月23日間も通ったりするほど、自分を追い込むことが楽しいと教えてくれました。
PROFILE junkoさん
じゅんこ。1958年生まれ。大学卒業後、塾講師やコールセンターなどで働きながらバンド活動を続ける。2006年にロックバンド「打首獄門同好会」にベーシストとして加入。2018年12月の誕生日イベントで還暦を迎えたことを公表し、話題を呼んだ。
取材・文/西尾英子 写真提供/junko