治療費を払えず借金が膨らみ

── それはショックな言葉ですね…。
坂本さん:かなりね。もともと通院しながら仕事をしていましたが、退職の件でさらに体調が悪化してしまい、そこから4、5年ほぼ寝たきりに近いような生活になりました。家の中は壁を伝いながら歩く状態でしたが、収入がないので、仕事はフリーの司会者として、別の結婚式場にスポット的に入らせてもらうことに。でも、1回働くと1週間は寝込んでしまい。体調が少し戻ったらまた働くのですが、すぐに寝込んでしまうという繰り返し。病院に通っても全然よくならないし、お金はほとんど治療費に消えてしまって。どんどんお金がなくてサラ金や金融公庫で借りました。今はもう返しましたが、当時トータルで1000万くらい借りたと思いますよ。
── 心身は、どんな症状が出ていましたか?
坂本さん:首の痛みや頭痛、吐き気、耳鳴りやめまい、呼吸困難など、ありとあらゆる症状に襲われました。病院だけではなく、接骨院や鍼、マッサージ、10分手を当てたら5万する気功や占いとか、トータルで32か所まわりましたね。でも、どこに行っても全然ダメ。各所で安定剤や眠剤をもらって一瞬楽になった気がするんですけど、すぐに戻ってしまうんです。ストレスで体重は10キロ以上増えて顔もパンパン。強烈だったのは、ある夜、家にひとりでいたら呼吸が苦しくなって慌てて救急車を呼んだときのこと。運ばれた病院ではインターンの先生しかおらず、先生が「なんだかよくわからないですね」と言うんです。こっちはパニックだし、先生の言葉が頭にきちゃって、運ばれた病院で「救急車を呼んでください!ほかの病院に行きます!」って、病院にいるのに別に救急車を呼んでもらったんです。ちょっと異常な行動だったと思います。でも、そのぐらい苦しかったし追い詰められていて。精神科にも何か所か通いました。結局32か所回って、33軒目の治療院で診てもらってから、やっと体が楽になりました。
── 何が違ったのでしょうか?
坂本さん:ハッキリした原因はいまだにわかりませんが、薬を全部見直したんです。今までいろいろな場所で診てもらって、たくさんの薬を飲んでいましたが、今の状態にあっているのか、もう一度見直そうと先生がおっしゃってくださったんです。結果的に薬のコントロールがうまくいったのか、33か所目にしてようやく体調がよくなっていきました。
── 現在はものまね芸人として活動されていますが、体調はいかがですか?
坂本さん:今は元気に過ごせています。当時の経験があったからこそ、心身の状態に常に耳を傾けながら、自分でリラックスする時間も作るよう意識していますね。今はものまねのお仕事を続けながら、講演会の仕事も増えています。自分が経験した出来事をお話しすることによって、何か皆さんの参考になればいいなと思っています。
PROFILE 坂本冬休みさん
さかもと・ふゆやすみ。1971年生まれ、千葉県出身。坂本冬美さん公認のものまねタレントとして、各イベント、ホテルディナーショー、企業様周年祝い、お祭り、交通安全イベントなど全国各地で大活躍中。
取材・文/松永怜 写真提供/坂本冬休み