21歳から聞こえない左耳「今も耳鳴りは続いてる」

── 健康といえば、21歳のときに突発性難聴になり、以来、左耳がまったく聞こえていないことを明かしています。きっかけはなんだったのでしょうか?

 

加藤さん:名古屋でお笑いを始めてすぐのころ、何の前触れもなく、突然、耳鳴りが始まったんです。電話を左耳に当ててもまったく人の声が聞こえない。「なんだろう、気になるな」と思っていたのですが、若気の至りで「そのうち治るだろう」としばらくほったらかしにしていたんです。ところが1週間たっても聞こえないし、耳鳴りも治らない。そこで初めて病院に行ったのですが、もう手遅れでしたね。

 

── 1週間で手遅れになってしまうものなんですね。

 

加藤さん:原因はストレスと言われましたが、別にそこまで強いストレスを感じていたわけではなくて。ただ、すぐに病院で治療すれば治る確率はかなり高かったと知り、すごく後悔しました。その後、専門の病院にいくつか行ったりしましたが、結局ダメでした。最終的にお医者さんからは「まあ、片耳だけなら生活には支障ないから」と言われたのですが、聞こえづらくて「え?」と聞き返して。さっそく支障が出てるじゃないかと(笑)。

 

左耳はいまも何も聞こえないので、左側から声をかけられても気づかず、「無視している」と思われることも。いまでも「ピー」という耳鳴りはしています。30年近く経つので慣れましたけど。あと数十年はつき合う体なので、労わっていきたいですね。今年で50代に突入しますが、僕のなかでは、まだまだ人生折り返し地点という気がしないんです。このまま元気に働き続けて、100歳超えを目指したいです。

 

 

介護経験や自身の体の不調などもあり、元気に働き続けることを前向きにとらえるザブングル加藤さん。じつは本業のお笑い芸人に加えて、副業をしたり資格をとったり大忙しの様子。どん底を経験した人はたくましいと実感します。

 

PROFILE ザブングル加藤さん

ざぶんぐるかとう。1974年、三重県出身。1999年に松尾陽介とお笑いコンビ・ザブングルを結成。2007年に『M-1グランプリ』で初の決勝進出を果たし、6位入賞。21年3月に、相方の芸能界引退に伴い、コンビを解散。以降、ピン芸人として活動。多くのバラエティ番組に出演するほか、俳優としても活躍。20年に消防設備士試験に合格し、消防設備の方面でも精力的に活動している。

 

取材・文/西尾英子 写真提供/ザブングル加藤