コメントを読んで「心が動いた」

── 仕事復帰はどのように進めたのですか。

 

二宮さん:マネージャーから、「コメントがたくさん来ているから見てほしい」と言われていました。最初はYouTubeも見られなかったのですが、夫にコメントを一つひとつ読んでもらったり、眼鏡が傷に当たらないように娘に持ってもらいながら読んだりするようになって、一気に気持ちが動きました。

 

二宮こずえさんのYouTubeでの投稿
活動再開を公表した際の二宮こずえさんのYouTubeチャンネル

活動休止中に皆さんからたくさんの応援コメントが届いていたのですが、応援してくださる声や、同じような状況にあった方からのメッセージをはじめ、復帰を待っていてくれているのが伝わってきました。

 

同じような経験をして、「私のことを見て頑張ろうと思えた」というメッセージを見て、何か人に光を照らすようなことができたらいいなと思うようになりました。前のように戻れるかなという怖さがあったので、最初の一歩をなかなか踏み出せずに時間がかかってしまったのですが、およそ1年後から仕事を復帰することを決めました。

 

── 休んでいた期間を振り返ってみていかがですか。

 

二宮さん:「退院したらすぐ仕事に復帰できるんだろうな」と手術前は思っていたのに、術後のダメージが大きすぎて、身体的にも精神的にも気力がゼロになってしまって。でも今思うとその経験があったからこそ、見えてきたものもあるのかなと思います。仕事から離れて休む時間も私にとって必要だったのかなというふうにとらえています。

 

── 病気を経験して、日常で変わったことはありますか?

 

二宮さん:今まで家に血圧計もなかったのですが、毎日きちんと血圧を測っています。もやもや病は血圧の変動によるリスクが大きいので、定期的に測ることが日課になっています。あとは、術後にあまり体を動かせず凝り固まってしまったので、そうならないよう基本的なストレッチも習慣化しています。もやもや病は治るものではないので、今後も向き合っていく必要があります。血圧の管理のために薬も飲んでコントロールしていくのですが、だからと言って「あれはできない、これもできない」と消極的にならず、何事も諦めないでいきたいですね。

 

── 復帰後のYouTubeチャンネルには応援のメッセージが届いているそうですね。

 

二宮さん:優しい方がたくさんいて、「元気な姿を見られるだけで嬉しいです」と言っていただけることで、私も元気をもらっています。仕事に関してはできることから無理なく始めています。もちろん体調と向き合いながらですが、これからは10年先、20年先というより、目の前のことを優先して取り組んで、毎日を楽しみながら過ごせたらいいなと思っています。

 

PROFILE 二宮こずえ

にのみや・こずえ。1981年東京都生まれ。モデル、インフルエンサーとして活動。Sサイズモデルとしてファッション系動画や二宮家の日常などをYouTubeチャンネルで発信。プライベートでは2児の母。2023年12月にくも膜下出血ともやもや病の治療のため無期限で活動休止を公表、1年後に活動を再開した。

 

取材・文/内橋明日香 写真提供/株式会社ソニー・ミュージックソリューションズ anyshe