夫の言葉が治療中の支えに

時東ぁみ
「APF JAPAN CLASSIC 2023」に出場し3位を獲得

── トレーニングで体質改善を行いながら、不妊治療をし、無事に妊娠されたそうですね。

 

時東さん:そうです。不妊治療は途中で1年間休憩したのを含め、トータル4年半行いました。1年間休んだときに体を整えるトレーニングをしっかり行ったのですが、治療再開後に成熟卵を採取したら以前よりも数が多くなっていたんです。治療を休憩する前は人工授精を6回行ってもダメで、顕微授精のために採卵しても年齢のわりに数が少なくて…。だから体質改善をしたのは、よかったのかもしれません。

 

最終的に、3度目の顕微授精で妊娠しました。顕微授精は採取した精子を、顕微鏡を使い卵子に注入して子宮に戻す方法で、1度目と2度目はホルモン補充をしながら行ったのですが失敗。3度目は先生から「ホルモン補充を思いきってやめて、科学の力に頼らず自然な流れに身を任せてみよう」と提案されました。

 

普通は順番が逆で、自然な流れでやってもダメならホルモンを補充して行うんです。でもそのときは逆の流れでホルモン補充をせずに行ったところ、私自身の体の潜在値が高くなったことや変にストレスを感じなかったのがよかったのか、それで妊娠することができました。

 

時東ぁみ
筋トレに励む日々

── 4年半にも及ぶ治療でしたが、どのような気持ちで乗りきったのでしょうか?

 

時東さん:不妊治療中は「どうしても子どもが欲しい!」という、その気持ちだけでした。夫が治療に協力的だったのも、乗り越えられた理由だと思います。病院のつき添いや治療にも前向きで、治療中はよくご飯を作ってくれました。この人となら子どもができても協力して育てていけると思えたのは大きかったです。

 

治療中に「僕はぁみちゃんが子どもを望むならもちろん協力するけれど、ふたりでも楽しいからそれでも大丈夫だよ」と言ってくれたことがありました。そのときに、「最終的に子どもができなくても大丈夫なんだ」と、すごく気が楽になりましたね。治療中も特別なことをしなくても、夫の言葉でリフレッシュできていました。

 

── 治療中につらかったことはなんでしたか?

 

時東さん:私は比較的メンタルが強いようで、後に不妊治療を始めた友だちが先に妊娠しても、素直に「おめでとう」と思えました。子どもが好きなので、「不妊治療中に子どもを見るのがつらい…」というようなこともなかったのですが、ニュースで子どもの虐待について見るのはいやでしたね。せっかく生まれたのに大切にされていないニュースはつらく、「私の元に生まれてくれたら幸せにできたのに…」と思っていました。

 

時東ぁみと息子
息子さん、愛犬と

 

4年半の不妊治療を経て無事にわが子を出産した時東ぁみさん。しかし出産は予想外の連続で、無痛分娩だったのに麻酔が効く前に子どもが産まれてきたそうです。

 

PROFILE 時東ぁみさん

ときとう・あみ。1987年、東京都生まれ。2005年に「ミスマガジンつんく♂賞」を受賞し、芸能界デビュー。グラビアアイドル、歌手、女優など幅広い分野で活躍。現在は防災士としても活動。2016年に結婚、現在は一児の母。

取材・文/酒井明子 写真提供/時東ぁみ