新聞の社説を注意深く読んでいくと
── 高校時代はどんなことに没頭していたのでしょうか。
肉乃小路ニクヨさん:読書ですね。国語の点数が伸び悩んでいたので、問題文によく出る作品を読もうと向田邦子さんの作品を読み始めたのをきっかけに読書のおもしろさにハマりました。その後『連舞(つれまい)』『乱舞(みだれまい)』『華岡青洲の妻』など、有吉佐和子さんの作品に出会い、夢中で読んでいました。女流文学が好きというのは、やっぱり自分のセクシュアリティもあると思うのですけれど、どこか琴線に触れるところがあったのでしょうね。読書が好きになってから、行間を読む力を含め、語彙力や言語化能力も磨かれていったと思います。それと並行して、新聞の社説を注意深く読むようにもなったことで、国語の成績が急激に伸びました。
── ウィットに富んだ会話、相手の心に届く言葉選びなど、現在のニクヨさんの「言葉の力」を培ってきたのは、10代からの読書習慣がベースになっていたのですね。
肉乃小路ニクヨ:今でも読書は大好きですね。もっともコストパフォーマンスのいい自己投資だと思っています。
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高校卒業後は慶應義塾大学に進学。そこでも自己防衛策として「不思議ちゃん」キャラを貫いていきますが、ついに心が限界を迎えます。その経験から、今も続く女装の道を歩むことになったそうです。
PROFILE 肉乃小路ニクヨさん
にくのこうじ・にくよ。1975年、千葉県出身。大学時代に女装をスタート。卒業後は金融業界でキャリアを積む。並行してショウガール・ゲイバーのママとして勤務。42歳でフリーランスに転身。「経済愛好家」「コラムニスト」「ニューレディ」の肩書をもつ。著書『いま必要なお金のお作法 幸せを呼ぶ40のマネープラン』(KADOKAWA)絶賛販売中。カセットガール楽曲「蜃気楼」配信リリース中。
取材・文/西尾英子 写真提供/肉乃小路ニクヨ