唯一無二の「狂言風漫才」で大人気のすゑひろがりずですが、現在の芸風になってからも、衣装やネタなど試行錯誤の日々。さらにその過程で芸名も変えることになるのですが、そのアドバイスをしたのは超大物コンビで── 。(全3回中の2回)

「同居人から怒られ」小鼓をトイレで叩いた

── 狂言風漫才でブレイクしたすゑひろがりずのおふたりですが、狂言ネタで人気者になってから、工夫したことはありますか? 

 

三島さん:以前は王道の漫才をしていましたが、「狂言ネタで勝負しよう」と決めてからは、徹底的に人とは違うことに取り組むことにしました。衣装は着物にして和風に寄せたんです。そのころはお金がなかったから、古着屋で500円の黒い着物を購入しました。古着屋の店長さんに着付けを習い、いまでも自分で着替えています。芸をしていると、着崩れたり寒かったりというのはあるんですが、いまや洋服より断然、着物のほうが楽に感じますね。

 

すゑひろがりず
狂言風漫才を始めてからも試行錯誤の日々

南條さん:小鼓もネットショップで8万円の物を購入しました。手にする前は、簡単に鳴るものだろうと思っていたのですが、甘かった。1、2日練習するくらいでは音が出ないんです。最初のころは、ネタの途中で音が出なくてスベることもありました。だから、家でひたすら練習していました。当時はほかの芸人とルームシェアしていたんです。夜、ポンポン叩いていたら「うるさい」と怒られてしまって。お風呂場やトイレで練習の日々でした。

改名を勧めたのは宮川大輔・花子師匠

── おふたりはもともと「みなみのしま」というコンビ名だったそうですが、改名したのはなぜですか?

 

南條さん:あるとき、舞台のあとに宮川大輔・花子師匠にあいさつにうかがったんです。すると、僕たちの漫才を観てくださっていて「あんたたち、ええやないの」と言っていただけました。ただ、コンビ名がよくないと。僕たちの先輩に「こりゃめでてーな」というコンビがいるのですが、大輔・花子師匠に「『みなみのしま』という名前は合ってない。『こりゃめでてーな』のほうが絶対いいからコンビ名を交換したほうがええ!」と言われて。でも、さすがに交換は難しいなと。いろいろ考えた結果「すゑひろがりず」と改名することになりました。

 

すゑひろがりず
コンビ名が「みなみのしま」だったころの2人

三島さん:やっぱり大輔・花子師匠が言われたとおり、和の雰囲気、おめでたさみたいなのが伝わったほうが僕たちの芸風が伝わりやすいんです。「みなみのしま」のコンビ名は違いましたね。