ドラマーとして活動する山葵さんは、2024年の夏に大腸がんで手術をしました。その影響でこれまで鍛えてきた体重や筋力が激減。TBSテレビ『SASUKE』への出場や和楽器バンドの無期限活動休止前のツアーでは、思い通りに動かない体にもどかしい気持ちになり──。(全2回中の2回)

2024年の『SASUKE』出場は賛否両論だった

── 2024年8月に大腸がんの手術をして、その2か月後にスポーツ番組『SASUKE』への出場や和楽器バンドのファイナルツアーに参加されたそうですね。体力的にも大変だったのではないでしょうか?

 

山葵さん:手術をしたのが8月半ばで、『SASUKE』の収録が10月末、和楽器バンドのツアーは11月からでした。手術をしたときに4日ほど絶食して体重4〜5キロや筋力が落ちたため、さすがに2か月でもとのベストな状態に戻すのが無理なことはわかっていました。ただ、ベストは無理でも今できることをしっかりやるしかないと。目標があることが励みになっていたと思います。

 

山葵
大腸がんの手術後『SASUKE』に出場(C)TBS

とはいえ、今までどおりのトレーニングが急にできるわけではなく、体力が落ちて思い通りに動けないし、手術の傷跡があるのでお腹も痛いしと、もどかしいことだらけでしたね。

 

──『SASUKE』には2020年から出場されていますよね?

 

山葵さん:子どものころから大好きな番組で、そのころは「自分なら絶対に全部クリアできるのに」と思って見ていました(笑)。実は僕はもともと好んで運動をするタイプではなく、20代半ばまでは体格もヒョロヒョロでした。24歳ごろの僕は上半身裸でドラムのパフォーマンスをしていたのですが、和楽器バンドで『ミュージックステーション』に出演することになり、せっかくなので番組出演のために鍛えることにしたんです。そこでトレーニングの楽しさに目覚めてしまい、このまま鍛えて『SASUKE』にも出てみたいと思うように。筋トレで体を鍛えるのは、何歳からでも遅いということはないのだと知りましたね。

 

山葵
「今回はいつもよりもリラックスして挑めた」と山葵さん(C)TBS

──『SASUKE』に初めて出場されたときはいかがでしたか?

 

山葵さん:初めて出演したのは2020年。もちろんトレーニングをして挑んだのですが、実際に出場してみると会場の独特の空気感やすべてのカメラが自分のほうに向いている特殊な状況に、スタート地点では手が震えて靴紐が結べないほど緊張…。メンタル的に厳しく、練習の成果を発揮できない人がほとんどだと感じました。

 

2020年と2021年はファーストステージにある、トランポリンで飛んで掴んだバーを離さずに滑降していき次のバーに飛び移る「ドラゴングライダー」というエリアで失敗。2022年は仕事の都合で出ることができず、2023年に初めてファーストステージをクリアできました。

 

── 2024年の『SASUKE』ではファーストステージの最後で時間切れになってしまいましたね。

 

山葵さん:いつもは本番を想定したセットで練習を十分に行うのですが、今回は手術後だったのでそれも2回ほどしかできず。体を追い込むというよりもできることを確認するレベルになってしまいました。なので、出場したものの最後まで体力がもたなかったですね。

 

このような状況なので出場自体も悩みました。周りの意見も賛否両論だったのですが、最終的には自分で判断して出場することに。けがをしたら周りに迷惑がかかるため、無理は絶対にしないと決めて出ました。当日はスタート地点に立てた感謝の気持ちが強く、いつもより気負わずにリラックスして挑戦できたと思います。