右半身が動かない母「前向きな姿に救われる」
── 現在のお母さんはどのような状況でしょうか?
マルシアさん:右半身が動かなくなりましたが、リハビリをしていて、少しずつ歩けるようになっています。経営していたお店に週に1回ほど行って、みんなに会って話をすることもあるようです。もともとポジティブな性格で、自分の身にあったことを受け入れてとても前向きです。「また、日本に行くからね」なんて明るく話しています。私も現状を悲しんではいません。かわいそうと思うのは苦しいし、母自身も頑張っているから。妹が一緒に住んでサポートし、さらにはいろんな方が助けてくれているので、感謝しかないです。
妹は母とずっと一緒で、大変なこともたくさんあると思います。手続きなどはすべて彼女がしてくれて、母が経営していたレストランも妹が引き継ぎました。本当にありがたいです。妹には「お母さんのことだけにかかりきりにならないで。ちゃんとプロにお願いする時間を作ったり、リハビリ施設に1日行ったりするなど、バランスよく配分してね」と伝えています。とはいえ、なかなか会いに行けない私からすると、毎日母と会えるのはうらやましくもあります。
![マルシアと母](https://chanto.ismcdn.jp/mwimgs/2/2/780w/img_2241c89fbe368b45eca815136dbedb151654727.jpg)
── 日本とブラジル、遠く離れた場所に住んでいると心配も多いですね。
マルシアさん:ブラジルまでは本当に遠いんですよ。飛行機だけで24時間以上かかり、そこからさらに移動があって33時間くらいかかります。体力的に厳しいうえに航空チケットも高く、時差ボケも激しいです。だから、一度行ったら1か月くらいは滞在しないと身体が持ちません。今年の後半くらいにまた会いに行きたいと考えています。ただ、いまはオンラインで顔を合わせて話せるようになり、写真も気軽に送れるようになりました。離れていても連絡を取り合えて、いい時代になったと思います。
PROFILE マルシアさん
歌手、女優、タレント。ブラジル・サンパウロ州出身。17歳でブラジルから来日、「ふりむけばヨコハマ」で歌手デビュー。数々の新人賞を獲得し、NHK紅白歌合戦にも出場。その後ミュージカルにも多数出演。圧倒的な歌唱力が評価されミュージカル初演時には「文化庁芸術祭演劇部門新人賞」を受賞。2025年2月14日(金)六本木CLAPS.で「Márcia’s Birthday Live」を開催。
取材・文/齋田多恵 写真提供/マルシア