家庭の事情で12歳からひとり暮らしをしていたと明かすお笑い芸人のすがちゃん最高No.1。非行に走ってもおかしくない環境ですが、家族の「ある影響」が強かったと話します。(全3回中の3回)

グレる、荒む可能性はあったのか

すがちゃん最高No.1
著書『中1、一人暮らし、意外とバレない』すがちゃん最高No.1(ぱーてぃーちゃん) ワニブックス刊、撮影/YOSHIHITO-KOBA

── 母が他界し、破天荒な父は家にほとんど帰らない。そのため、中学1年生から高校3年生までひとり暮らしをされていたそうですね。当時、孤独を感じるようなことはありましたか?

 

すがちゃん:ちょこちょこありましたが「孤独な俺、なんてカッコイイんだ…!」って思う方が強かったですね。

 

── どのへんがカッコいいと思いましたか?

 

すがちゃん:子どものころから漫画をよく読んでいて、何かつらいことがあっても、部屋の中で体育座りしながらふさぎ込むのって、主人公じゃないんですよ。だいたい漫画に出てくる主人公って前向きなキャラクターが多くて「つらいこと」を「つらいことにしない」んです。たとえばドラゴンボールは地球が終わるって状況なのに「オラ、ワクワクしてきたぞ!」と言って前に進むとか。僕はそんなマインドに影響されて過ごしてきた気がしますね。

 

── たとえば「なんでうちのお父さんは家に帰ってこないのか」など思うようなことはありましたか?

 

すがちゃん:そう思う瞬間はあったかもしれないけど、親父のことだし、まぁしょうがないかなって。僕はかなり楽観的なタイプ。もし違う人が僕のような環境で過ごしたら、怒りとか苦しみで押しつぶされるかもしれないけど、僕は「まぁ、しゃーないっしょ」って。もともと感情の起伏が少ない方だし、仮に怒りが一瞬出ても、じゃあどうすればいいかを考えて、すぐに落ち着くと思うんです。大事な約束があるのに寝坊したとしても「あー!ヤバイヤバイ!」ってジタバタせずに、最短で目的地に着くにはどうしたらいいかをすぐに考えるので。

 

── では、いわゆる「グレる」「気持ちが荒む」可能性はあったかと思います。すがちゃんがそうならなかったのは、楽観的な性格ゆえでしょうか?

 

すがちゃん:それもあるし、まず、僕の家族で共通しているのは、とにかくみんな優しかったんです。たしかに親父は破天荒で借金がたくさんあって、知らないうちにほかに家族を作るような人だったし、小学生時代ともに暮らしたおばあちゃんや、叔母のかっちゃんも感情の上がり下がりが激しい面があったけど。でも、みんな基本的に優しくていい人。家族が誰かの悪口を言ってるのって一度も聞いたことがなかったし、家族の影響を受けてるかもしれないです。

 

── ちなみに内面だけではなく、ご自身の外見についてもカッコいいと思っていたとか。

 

すがちゃん:カッコよかったですね。中学時代はバドミントン部に入って髪の毛も短く切りましたが、ツンツンしていてちょうどいい長さで。学校が休みの日の朝とか「今日は何しようかな」と思いながらふと鏡を見たら、「ちょっと待て。俺、カッコよすぎるぞ…」って思うことはよくありましたね。中学時代はずっとモテていたので、卒業するときは制服のボタンが全部なくなりました。

 

── 今も変わらず素敵なすがちゃんですが、改めて、中学1年生から高校3年生までひとり暮らしを経験して、気づいたことはありましたか?

 

すがちゃん:ある程度、人に頼らないとダメだなって思いました。自分でなんでもやるのってすごく非効率。今も直しきれてないですけど、よくないですよね。ときどき、インスタグラムやユーチューブのおすすめ動画で「仕事ができない奴は、人に仕事を頼めない」みたいな動画が流れてきます。自分も直したいと思いながら、なかなか直らないんですけど…。

 

でも、中・高校時代にひとり暮らしをしていたことは、当時から満足してました。周りの友達の話を聞いていると、親がすごく厳しいとか、家族にすごく気をつかうみたいな話を聞いていたので、そっちの方が自分的にはキツいと思ったし。