夕飯時に玄関から突然、口論する声が聞こえた

すがちゃん最高No.1
著書『中1、一人暮らし、意外とバレない』すがちゃん最高No.1(ぱーてぃーちゃん) ワニブックス刊、撮影/YOSHIHITO-KOBA

── その後、すがちゃんが小学3年生のとき、とても衝撃的なことが起きたとか。

 

すがちゃん:夕飯時に突然、家の玄関がガチャって開いたので、親父がひさびさに帰ってきたかと思ったんです。でも、すぐに玄関からかっちゃんと誰かが激しく口論している声が聞こえてきて。何かと思って僕も玄関に行ってみたら、親父と知らない女性、子どもたち3人くらいが玄関に立っていて。相手の女性は若くて茶髪のヤンキーみたいな感じで、子どもは俺と同じ歳くらいかちょっと下くらいの金髪の男の子と女の子、あと赤ちゃんでした。

 

そこで親父が突然「今日から俺らがここで暮らすからお前ら出てけ!」と言い出して、かっちゃんも様子を見にきたおばあちゃんも怒って壮大なバトルに。口論がどんどん激しくなって、いよいよどうしようもないっていうときに、いつも無口なおじいちゃんが一喝したんです。そしたら親父たちも「一回帰るわっ」てなって。

 

── お父さんに新しい家族ができていたということでしょうか?

 

すがちゃん:たぶん結婚してたんじゃないかな。まぁ、少し驚いたけど「やっぱりな」みたいな。その後も、親父が何度か家に来て、僕を引き取って親父の家族たちと一緒に暮らす話もしたみたいだけど、かっちゃんが断固反対したみたいです。でも結局、親父はその家族とすぐに離婚したようですけど。

 

── その後、すがちゃんが小学5年生のときに、かっちゃんが東京に行くことを決めたそうですね。

 

すがちゃん:精神的に追い込まれて、山形での暮らしに限界がきたんでしょうね。もともと大学から東京に出ていて、そこでの暮らしが充実していたんですよ。でも母が亡くなって僕を育てるために山形に戻ってきましたが、おじいちゃん、おばあちゃんともうまくいってなかったし、何より僕が山形の家にいる環境がよくないと言って、僕を連れて東京に行こうと思ったみたいです。でも、まさかの僕が提案を断るっていう。僕は東京に行かずに山形の生活を選ぶことにしました。

 

── なぜ、すがちゃんは東京行きを拒んだのでしょうか?

 

すがちゃん:かっちゃんには本当にお世話になっていたんですけど、友達や山形の土地から離れるのがすごく嫌でした。山形は景色も綺麗だし、高2くらいまでは一生、山形にいるだろうと思ってたくらい山形が好きだったんですよね。かっちゃんは僕も一緒に東京に行くもんだと思っていたようで、僕が行かないというとかなりびっくりされて。僕もうまく説明ができなくて、かっちゃんと押し問答みたいになっちゃったけど、かっちゃんも泣いたりヒステリックになっていく姿をみたら、僕も少し冷めちゃって。

 

── 家の環境から逃れたいと思うことはありましたか?

 

すがちゃん:家にいる時間はキツイことだらけでしたけど、僕の人生のなかで家族を軸にしていなかったんです。家から出た時間が僕の人生の時間だと思っていたし、家がキツイぶん、友達の存在がすごく大きかったのはあります。こんなに気の合う友達はもうできないだろうくらい思っていて、そこだけ閉鎖的でしたね。

 

PROFILE すがちゃん最高No.1さん

すがちゃんさいこうなんばーわん。1991年生まれ。山形県出身。2021年お笑いトリオ『ぱーてぃーちゃん』を結成。著書に『中1、一人暮らし、意外とバレない』(ワニブックス刊)がある。

 

取材・文/松永怜 写真提供/すがちゃん最高No.1(ぱーてぃーちゃん)