子どもたちを自分と比べちゃいけない「日々修行中です」

── 現在、俳優の北村有起哉さんと結婚され、2人のお子さんがいらっしゃいます。長男は10歳と、ちょうど高野さんが留学した当時と同じ年齢を迎えています。お子さんに対してどんなふうに接していますか?

 

高野さん:これが本当に難しくて…。今、10歳と4歳の息子2人が空手をやっていて、すごく頑張っているんです。優勝を目指して大会にも出場して。でも、ときどき余計な口を出したくなってしまうというか。

 

撮影/TADAYUKI MINAMOTO

私自身、9歳のときに「バレリーナになりたい!」と思って、そのためにどうすればいいのかを逆算したうえで全寮制のバレエスクールに行くことを選択しました。ただ、矛盾しちゃうかもしれないのですが、9歳で具体的な夢や目標をもつ子のほうが少ないじゃないですか?その年で夢を叶えるために本気で行動を起こすなんて、普通はしないですよね。

 

それはわかっているのに、信じられないほどストイックに頑張っていた当時の自分と息子たちを比べてしまう。「甘いんじゃない?本当にやりたいなら、もっと頑張ってレベルアップしないと」と言いたくなることがあって。「自分と比べちゃいけない」って自分に言い聞かせているのですが、大会で負けて泣いている息子たちに、厳しいことをつい言いそうになって…いつもそれをグッと抑えています。本人たちの意思を尊重しながら、自分は見守る立場に徹することができるように、今は息子たちとの距離のとり方を日々、訓練中です。

 

── 自分の子どものころと比べて、わが子に口を出してしまいそうになる親は多いと思います。

 

高野さん:難しいですよね、本当に。自分にとって永遠のテーマだと思うのですが、「好き」の表現方法は人それぞれなんだって、子どもたちから教えてもらう日々です。

 

 

9歳に「バレリーナになる」と決め、10歳には全寮制のバレエスクールに入学した高野さん。その意志の強さには脱帽ですが、人気俳優・北村有起哉さんに4年の交際を経てプロポーズされたときの行動にも、そんな高野さんらしさが表れていました。

 

PROFILE 高野志穂さん

たかの・しほ。1979年、東京都生まれ。父の海外赴任で、幼少期からバーレーン、シンガポール、英国(マンチェスター、ロンドン)で暮らす。15歳で帰国。1998年に俳優デビュー。2002年放映のNHKドラマ『さくら』ではヒロイン役を演じる。その後、ドラマ、映画、舞台などで様々な役で活躍している。2児の母。

 

取材・文/高梨真紀 写真提供/高野志穂