家族全員が俳優ってどんな感じなんでしょう。音無美紀子さんがまさにそう。夫も子ども2人も役者のファミリー。家では親子で演劇談義をするもの?結婚50周年を迎える夫との関係は?ワイドショーさながらに聞いちゃいました。(全4回中の2回)
子ども2人も役者「自分から口出しはしない」
── 夫は俳優の村井國夫さん、2人のお子さん(長女の村井麻友美さん、長男の村井健太郎さん)も役者の道に進まれ、ファミリー全員が俳優に。大先輩として、お子さんたちに演技のアドバイスをされたりするのですか?
音無さん:子どもの出演作品を観に行ったときに、「どうだった?感想を聞かせて」と言われたら、気づいたことを伝えたりはしますが、基本的には自分からは言わないですね。結局、演劇って最終的には感性の問題だから、指導するといっても「そこはもう少し強めにセリフを言ったほうがいいんじゃない?」や「もっと独り言みたいにつぶやくほうが効果的かも」など、動きや感情の表し方を伝えます。じつは、セリフを言うのが下手な役者はあまりいません。では、なぜうまく見えないのかというと、動きとセリフが一致しないから。そういうときの立ち振る舞いなどをアドバイスすることはありますね。
夫はずっと「子どもの作品は怖くて観られないよ」が口グセでしたが、最近になって観に行くようになりました。家でも、子どもたちの部屋からセリフを練習する声が聞こえてくると、しばらく耳を澄ませてから「どうする…。よし、行くか」と部屋に入っていきます(笑)。
── 2023年に村井健太郎さんがミュージカルに初出演されたときには、家族で観劇される様子がインスタグラムにあがっていました。
音無さん:『月に咲く花』という作品だったのですが、じつは息子が、劇作家の横山由和さんに「脚本を書いてください」と直談判して叶った舞台だったんです。横山さんといえば、数々の人気舞台をつくってきたミュージカル界の大御所。そんな方に直談判するなんて、怖いもの知らずだと、夫婦で仰天しました。彼はすごく積極的な性格で、当たって砕けろ的なところがあるんです。
── 度胸がいいのですね。そうした性格は、夫の村井さん譲りなのでしょうか?
音無さん:思いきりのよさは、私でしょうね。夫はどちらかというと、謙虚で恥ずかしがり屋、石橋を叩きまくってから渡る慎重なタイプで、何事もコツコツと積み上げていく努力家なんです。対して私は、石橋を叩く前に「行っちゃえ!」と威勢よく進みがち。子どものとき、授業中わからなくても「ハイハイッ!」と勢いよく手をあげて、いざ指名されると「えっと、なんだっけ」と困ったりしていました(笑)。