着こなし動画でバズるも「自分は特別おしゃれとは思わない」
── きょうこさんとしても、シニア向けの情報の必要性を感じていたのでしょうか?
きょうこばぁばさん:私自身、ネット上にもっとシニアが集まって情報交換するようなサイトがあるといいのにと思っていたんですよね。でも、当時はそういうウェブサイトが全然なくて。シニアに関するサイトは、介護施設や病院の紹介とか、家族が情報を得るためのものが多かったんです。もっとシニア本人が楽しめるような情報があればな…とは思っていました。
YouTubeでは、最初は料理を作っている動画をあげていたんですが、あまり再生回数が伸びなくて。それで、お料理だけじゃなくて、いつも使っているアクセサリーやスカーフなどを紹介したファッションの動画をあげてみたんです。そしたら、すごく観てくださる方が増えるようになりました。
── いつもGUやユニクロ、しまむらなどのお洋服をおしゃれに着こなしていますよね。おしゃれに目覚めたきっかけはあるのでしょうか?
きょうこばぁばさん:おしゃれは、祖母の代からみんな好きで。母が私の洋服を作ってくれたこともありました。私が通っていた短大も服飾関係だったので、そこでいろいろと学びました。私や夫の友人にはアパレルで働くおしゃれな方がたくさんいて、ずっとおしゃれを楽しむことが当たり前の環境にいたのかなと思います。だから、今でも自分が特別おしゃれだ、とは思っていないんですよ。
── 十分おしゃれです!年齢を重ねると、プチプラファッションが似合わなくなるのでは、という不安もあります。きょうこさん流の着こなしテクニックはありますか?
きょうこばぁばさん:私は生活が苦しくなってきたころから、ずっと「黒は着ない」「ブルージーンズは履かない」と決めていたんです。お金がなくなり始めたときに、たまたまその2つを着ている自分の姿を、鏡で見てしまったことがあって。当時はそういう暗い時期だったからかもしれないけれど、鏡に映った姿がすごくひどかったんです。
昔はむしろ、黒って簡単だし、買いがちな色だったんですよね。でも、それ以降は「年をとってから黒やブルージーンズを着るのはダメなんだ」って気づいて買わなくなりました。
── 黒とブルージーンズ…。買いがちです。
きょうこばぁばさん:ただ、実はそのルールで何十年間も続けてきたんですが、最近、友人のシニアインスタグラマーから「黒を着ていないの?もったいない!あんなにカッコいいものを」って言われて、最近は黒やブルージーンズも挑戦してみようかなって思っています。それで「ちょっと買ってきました」ってYouTubeに動画をあげてみようかなって。本当に髪が白くなった後のジーンズは、また違うんじゃないかなってワクワクしているんです。
── そうやって変化を前向きにとらえているのが素敵ですね。どうすれば年齢を重ねてもチャレンジ精神を持ち続けられるのでしょう。
きょうこばぁばさん:私は今68歳ですけど、シニアの洋服売り場に入るのは、絶対にやめようと思っているんです。入っちゃったらもう最後だと思っているから。そこで買ったら、見た目もシニアになるし、気持ちもシニアになっちゃう。名前に「シニア」とついていて私が利用するのは「シニア割引」だけ(笑)。そのほかの「シニア」とつくものには、まだ関わらないようにしています。
GUやユニクロでも、私たち世代が着られるような服っていっぱいあるんですよ。シンプルだから、歳をとっても着られるんです。だからシニア世代も、若い人も買っているようなお店で服を探したほうがいいと思います。
── これからYouTubeでどんなことを発信してみたいですか?
きょうこばぁばさん:もっとシニアライフの話題も発信してみたいなと思っています。たとえばシニアにおすすめのコンビニ食とか。地方では、意外にもシニア層がコンビニをすごく利用しているそうです。私は料理が好きなので、まだ自分で作ったものを食べたいと思うけれど、ゆくゆくはシニアから見ておいしいコンビニ食を紹介して、観た人が「食べてみたい」と思ってくれたらいいな、と考えています。
あとは、ときどき「きょうこさんに悩みを聞いてもらいたい」ってコメントが来ることもあるので、人生相談みたいな動画もやってみたいなって。でも「相談にのってほしい」ってメッセージが来るのが、なぜかみんな20代なんです。私で大丈夫かなって思うんですけど(笑)。でも、ありがたいですね。
PROFILE きょうこばぁばさん
YouTuber、インスタグラマー。66歳から始めたYouTubeチャンネル「きょうこばぁばライフ」は登録者10万人越え。「きょうこばぁばオフィシャルブログ」でもファッションや日々の暮らしについて積極的に発信中。長女はモデルの吾紗さん、娘婿はミュージシャンで俳優の浜野謙太さん。著書に『きょうこばぁばの 人生キラメクおしゃれマジック』がある。
取材・文/市岡ひかり 写真提供/きょうこばぁば