料理も芸人も共通していること
── 芸人としての活動と「誠子食堂」やライフスタイルの活動、共通していることはありますか。
誠子さん:料理やライフスタイルブランドと芸人のお仕事、やっている作業は違いますが、共通しているのは「お客さんを笑顔にしたい」という気持ちですね。足を運んでくれたお客さんや商品を見てくれた方に楽しんでほしいし、一緒にやっているスタッフとも楽しみたい。そこにかける気持ちや集中力、思いの深さも一緒です。
地域活性化も考えていて、地元の神戸はもちろんのこと、日本と世界、生まれてきた地球をよくしたいと思っています。産んでくれた両親への感謝もありますし、今は、両親はいないですが、自分がしている活動が両親に誇れるものでありたい。それが親孝行、恩返しになればいいなと思っています。
芸人としても単独ライブを続けていきたいですし、海外でのライブも考えています。芸人のお仕事を続けながら、料理のイベントや地域創生、何かかけ合わせができたらいいなと思っています。
── 改めて、フリーになって変化したことはどんなことですか?
誠子さん:人がもっと好きになりましたね。今まで以上にお仕事の幅が広がって、いろいろな人たちと関わっていくと、さらにたくさんの人たちの気持ちがわかるようになった気がします。みんな頑張ってるんだな。こんなにしてくれるんだなって思えるようになったし、メールひとつ返すにも「お世話になってます」って言葉から入るって、人ってこんなにも労力使うんだとか。
たとえばこの記事をひとつアップするにも、企画出しからアポ入れ、スケジュール調整、原稿チェック、確認、修正、またチェックっていくつかの工程を経てから記事になると思いますが、こんなにもいくつも工程を踏んでいるなんて、今までよくわかっていなかったです。今は、感謝の気持ちがわかるから、目の前の人がイラッとした気持ちをぶつけられたとしても、もしかしたら仕事で大変だからイライラしているのかもしれない。普段はいい人かもしれないって思えるようになって、私もイライラしなくなりました。もともと、性格上あんまり怒るほうではないんですけど、よりわかるようになったというか。レベルアップした感じですね(笑)。
PROFILE 誠子 さん
せいこ。1988年生まれ。兵庫県出身。NSC大阪校にて同期の渚と2007年「尼神インター」を結成。24年3月末にコンビを解散し、吉本興業も退所した。フリーの芸人としてライフスタイルブランド「merci(メルシー)」も設立し活躍中。
取材・文/松永怜 写真提供/誠子