高校時代は1軍ポジションもテレビでの姿は「おもろくない」と
── 学生時代は、周りを笑わせたりするいわゆる「1軍ポジション」みたいな、目立つタイプだったのですか?
おたけさん: S級ですね、それは常に(笑)。この間、高校の同窓会がありまして。20年ぶりぐらいに同級生に会ったんですけど、「当時は結構おもろいヤツって思ってたけど、テレビに出だしたとき『こいつおもろくないやん』ってなった」と言われて。「あの高校時代のおもろさは何だったんだ」みたいな。
── デビュー当時は、どこか抑えていた部分があったのでしょうか?
おたけさん:卒業後すぐにデビューして、メンバー内でのキャラの立ち位置もありましたしね。でもあるときから、自分がもっと前に出ないと、という気持ちが出てきて。トリオとして当たり前のように走ってきたんで、それについて深く考えることはなかったんですけど。最近2人になって、また方向性が変わってきましたね。やっぱり3人と2人って、全然違うものだなって、最近感じています。
── ご自身では、ボケかツッコミかでいうと?
おたけさん:…ツッコミです。
── 世間的には、ちょっと天然キャラな感じもありますが。
おたけさん:そう言われるんですけどね。ツッコミたいんですよ。けどね、ツッコミが全部間違っちゃってる(苦笑)。それで結果的にボケになっちゃってるんですけど、気持ち的にはツッコミたいっていうのはあります。
── お笑いで、これだけは大切にしているっていうことはありますか?
おたけさん:いろんなお笑いのタイプがあると思うんですけど、僕は楽しくやっていたいから、人傷つけたり落としたりすることは、基本的に言いたくないんです。イジることでおもしろくなることもあるんで、難しいところなんですけど。そうなると、綿密に作り上げる必要も出てきたりして…。それよりも、僕はノリなので。
考えてやって成功したことが、今までほぼないんですよ。たとえば「これ言ってやろう」とか、計画していても全部ポシャって、結局その場で起きたことがウケたりして。昔よく先輩にも「考えちゃダメ、考えたら全然おもしろくないんだから」と言われていたし。考えないので、「お笑いとは」っていう、いわゆるお笑い論がないんですよね。「お笑い論がない」っていうのが、僕のお笑い論って感じです。
── 今後はどう進んでいきたいですか?
おたけさん:僕たちはコントのイメージがあると思うんですけど、2人になったということもありますし、僕的に本当にやりたかった漫才をして、漫才師として生きていきたいなと。そしてコントはフェードアウトしていく…っていうのを、空気感で相方に示していこうかと。実はコントって、僕はあまり得意じゃないので。
── そうなんですか!?おもしろいのに。
おたけさん:コントって芝居が入るから、見るほうも芝居が入る前提でのお笑いとして見ているし、ミスが許されないですよね。だから、コントをするときは、とてつもない緊張感に襲われるっていうストレスはありました。その点、漫才はミスしてもその場で回避しやすい世界というか。
でも僕、生きていくうえのストレスってほぼないんですよ。自分にとってはネタだけがストレスだったので。そういうタイプだから、今も悩みはほぼないですし、当時も悩んでもしょうがないっていう感じでしたね。
PROFILE ジャングルポケット・おたけさん
1982年東京都生まれ。NSC東京校12期生。お笑いトリオ・ジャングルポケットとして、2007年にデビュー。コントコンテスト番組「キングオブコント」では、2015年から2017年まで3年連続で決勝進出、2016年大会では準優勝を果たした。2023年には、実家が営むもんじゃ焼き屋「竹の子」の経営にも参加。2025年3月15日(土)には、東京・草月ホールにて、ジャングルポケット単独ライブ『HYDROGEN』を開催予定。
取材・文/松崎愛香 写真提供/ジャングルポケット・おたけ、吉本興業株式会社