スマホを最近購入もインフルエンサーになれる

── スタッフインフルエンサーは、SNSに強い方がなれるのでしょうか。

 

サトウさん:いいえ、スタッフインフルエンサーは希望者で、SNSはまったく素人という方から、アカウントはあるけれど更新していないという方もいます。「スマホを最近買いました」という方もいました。まずは、SNSのアカウントの作り方や投稿の仕方から指導することも多いです。実績や技術よりも、「ブランドの認知拡大のために貢献したい」という気持ちが強い方ばかりです。スタッフインフルエンサーは、社員だけではなくアルバイトやパートの方もいらっしゃいます。

 

投稿についても、一定のルールはあるのですが基本的には内容すべてを個人に任せています。店舗によってカラーも違いますし、毎週、新商品が出るのですが同じ商品でも個人によって紹介の仕方が変わってきます。統括する立場としては、皆さんそれぞれがご自身の強みを生かして、楽しく投稿してほしいというのがいちばんです。その一方で、SNSはどれくらい見ていただけたかや、いいねの数が数値に出てしまうので、その数をどう伸ばしていくかについて考えるのは苦悩しています。

 

── 投稿を個人にゆだねるのには理由があるのですか。

 

サトウさん:SNSは続けていくうちに、どうしても次第にクオリティを求めるようになってしまって、お客さま目線ではなくスリコスタッフとしての色が強くなってしまうんです。いわゆる「中の人」感が出てしまうんですね。実は、綺麗に動画を作る技術がある方より、いちからSNSを始めた人の方が、まるでお客さまが投稿したような見え方になるので動画の再生回数も伸びています。それぞれ個人によって得意な商品のカテゴリーも違いますし、動画の作り方も違うので個性を活かしていけたらと思っています。

 

約90人のインフルエンサーが、全員同じような投稿をしては意味がないので、オリジナリティを出すことを大切にしています。スタッフではあるのですが、いち消費者目線で正直レビューもしています。

 

── SNSの反響と、商品の売れ行きはどのように連動していますか。

 

サトウさん:動画の再生回数やいいねの数、ページを見ている方の数と比例して商品の売れ方も右肩上がりで反応があります。ただ、SNSでバズったとしても、必ずしも商品購入の動きに繋がるとは限らない場合もあります。動画をあまりにも作り込みすぎてしまって、投稿を見ただけでお客様が満足してしまい購入に至らないことも理由にあるのかもしれません。ただ、私たちが考えるスタッフインフルエンサーは、投稿が伸びず、商品が売れなかったとしても、そのアカウント自体のファンやその方自体のファンになって欲しいということを第一に考えています。

 

── 今年、SNSをきっかけに「バズった」商品はなんでしたか。

 

サトウさん:この1年でいうと、推し活アイテムですね。スリコで推し活アイテムが出るということを注目していただいて、「こういうのが欲しかった」という思いが皆さんに響いたのだと思います。トレンドを押さえていることも影響しているのですが、お客さんが調べ物をして、その後にお客様のアカウントがカテゴライズされてくるので、しっかりトレンドを押さえた投稿することが大事だと実感しています。

 

3COINSの推し活商品
「今年売れに売れた!」推しのぬいぐるみの着せ替えができる推し活アイテム

── 一般の方が、「スリコ購入品」としてSNSにアップするのを目にする機会が増えました。

 

サトウさん:私たちも投稿を拝見させていただいていますが、純粋にありがたいという気持ちです。一般の方が投稿してくださる内容は、本当にリアルな声で、公式アカウントよりも圧倒的な影響力があります。お客様ご自身の声が、お客さまにいちばん届きやすいと思っていますので、投稿されている方の意見も参考にしています。「これは使いにくかった」というようなご意見も本部に共有するようにしています。

 

── SNSが生活に密接に関わる時代になっていますが、今後どのように3COINSのインフルエンサー活動を展開していきたいと思っていますか。

 

サトウさん:日々刻々とSNSのアルゴリズムが変わってきているなかで、属性がより大切になってきていると思います。どのSNSもAIを搭載していますし、一定のジャンルが好きな人に届きやすいようになっているので、私たちも「この商品カテゴリを見たい場合はこのスタッフに」というふうに誘導できたらと思っています。フォロワーさんにも属性がありますので、どんな商品の紹介の仕方が合うか、スタッフそれぞれが自分が好きなものを紹介して、それを好きな方がフォロワーとしてついてくるということがより求められていくと思います。それは店舗での接客も一緒で、デバイスはこの方、キッズはこの方、というように得意分野で明確化していくことが求められていくのではと思っています。

 

取材・文/内橋明日香 写真提供/(株)パル